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招待するならゲネプロに?  もしくは、中瀬宏之の本音を申せば

 中学の3年生以来だから、ほぼ25年もの間コンサートに足を運び続けていると、だいたいコアなクラシック音楽ファン(コンサート・ゴア)と呼ばれる人種の心の動きは、手に取るようにわかるようになってくる。
(ちなみに、僕は自分自身のことをコンサート・ゴアだとは思っていない。もう一つ言えば、シアター・ゴアとも思っていない)

 例えば、招待客へのちょっとしたジェラシーだとか。
 いわゆる関係者に対してもそうだけど、新聞やらホームページやらのプレゼントコーナーで運よく招待券を手にした、あまりクラシック音楽に通じていなさそうなお客さんに対する、「なんであんたらここにおんの」と軽く突っ込みを入れたくなるような気持ちは、身銭を切ってコンサートに通い詰めている人ならば、一度は感じたことはないだろうか?
 それも、チケット料金がけっこう高くて、しかもファンなら絶対に聴き逃せないあの指揮者やあのソリストが登場するコンサートならば。
(ことこのことにかぎらず、生身の人間だもの、ジェラシーがあること自体、僕は仕方がないことだと思う。問題なのは、それを面と向かって陽性に毒づくこともできず、かといって、自分の気持ちを隠しおおせることもできず、結局正論を装ってねちねちねちねちと相手を攻撃することではないか。あと、一番怖いのが、自分にはジェラシーなんて一切ないと信じ込んでいる人間の無意識のジェラシー!)

 だから、今回の読売日本交響楽団の大阪公演の招待状で問題が起こったとき、読売日本交響楽団のチケットセンターや昨夜の読売新聞大阪本社の企画事業部の方との電話で強調したのは、いったん招待客のための席は設けられないと決まったのであれば、無理に割り込んでまで自分の席を確保したいわけではないということだった。
(いやごとめかしてここには書いたが、そこらあたりに関しての自分の判断は、一応記しておいたつもりだ)

 ただ、一方で、シルヴァン・カンブルランの読売日本交響楽団の常任指揮者就任のお披露目コンサートを聴けるという願ってもないチャンスをみすみす棒に振るのも悔しいかぎり。
 僕がどうにも残念に感じたことも、それこそコアなクラシック音楽ファン、特にオーケストラのファンの方なら、ある程度は理解してもらえるものとも思う。

 そこで、手ごねハンバーグじゃあるまいしごねごねごねて自分だけコンサートに潜り込むような卑劣漢となることなく、なおかつ当日券を手に入れたいと願う人たちの想いをできるだけ適える(なぜなら、招待客が減れば、その分当日券に回せるので)という方法はないかということで、一つ思いついたことがあった。
(というか、はじめに電話をもらった段階ですぐにひらめいたのだけれど、担当のYさんに説明してもたぶんわかってもらえなさそうだったので、改めて直接読売日本交響楽団のほうに電話をしたのである)

 で、このことは昨夜読売新聞の方にも話したことだし、もはや実現の可能性もなさそうなのでこの場で明かしてしまうと、それは、招待状や招待券を送った人たちにかぎってゲネプロを公開するということだ。
 むろん、ゲネプロだから、まるまるコンサートのままというわけにはいかないし、指揮のカンブルランや読売日本交響楽団のメンバー、さらには関係者一同の承認が必要なことは重々承知しているが、招待状や招待券を持った人を門前払いにしたり、逆に当日券が出なくなってしまうよりも、まだましなのではないかと僕は思ったのである。
(加えて、このコンサートではテレビ撮影も予定されているから、その「プロ―べ」に接する愉しみまであるわけだ)

 それと、ここでみそなのは、(こうやって中瀬宏之が提案者であるにもかかわらず)これを、招待状や招待券に関する一連の経緯を耳にしたシルヴァン・カンブルランが自分から「ゲネプロを公開したらどうか?」と提案したという体にするということだった。
 そうすれば、招待状・招待券に関する読売新聞側の不手際を謝罪しつつ、「カンブルランの決断」といった記事をホームページに掲載できるだろうから、「カンブルランってええ人やん」と新常任指揮者のイメージも上昇し、まさしく災い転じて福となすこともできる。
 もちろん、やらせっちゃやらせだけど、これぐらいなら「メディア戦略」の一端、許容範囲のうちなんじゃないかな。
(しかも、あくまでもこれって僕の妄想だしね。それに、カンブルランが「そんな嘘はつけない」といえばいったで、彼の人柄がわかるチャンスになるし)

 それにしても、昨夜読売新聞の方とも少し話しをしたが、チケットの売れ行きを読むというのは大切なことだ。

 単に読売新聞の購読者(あまりクラシック音楽を聴かない)に読売日本交響楽団というオーケストラの存在を知らしめるためだけなら、例えば外山雄三や手塚幸紀、円光寺雅彦や梅田俊明といった手堅い日本人指揮者を起用してもなんの問題もない。
 それこそ心おきなく招待状や招待券を送りまくればいい。
(あっ、これは読売新聞の方には話したことではないので)
 けれど、残念ながらここに挙げた指揮者の顔触れだと、クラシック音楽の熱心なファンが集まりにくいだろうから、今度は読売日本交響楽団のコンサートが事業として成り立たない。
 まあ、上記指揮者のコンサートであれば、一般学生問わず、開演10分前から全ての残席を1000円で売り出せばいいと、僕なんかは思ってしまうけど。
(それだったら、僕も並ぶし)
 でも、そうしたらそうしたで、前売り券を購入したお客さんがジェラシーを持つだろうからなあ。
 ほんと、物事は簡単ではない。

 いずれにしても、今回の読売日本交響楽団の大阪公演は別として、オーケストラのコンサートの招待状や招待券を出すならばゲネプロに、というアイデア、関係者の皆さんにご高察いただければ幸いである。


 *追記
 過去のあれこれを僕も全く知らないわけではないし、僕自身、実はあまりそういう「売り方」は好きじゃないんだけど、今読売日本交響楽団が指揮台に上げるべき日本人の指揮者は、もしかしたら山岡重信なのではないかとふと思う。
 ただし、万一実現しても、定期演奏会ではなく、東京芸術劇場でのコンサートや深夜の音楽会の公開録音ということにはなるだろうが。
by figarok492na | 2010-05-01 16:32 | クラシック音楽
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