☆猛き流星 vol.2『朝日のような夕日をつれて』
作:鴻上尚史
演出:酒井信古
(2013年7月7日19時開演の回/京都大学吉田寮食堂)
小西啓介主宰の演劇ユニット、猛き流星が第2回目の公演にとり上げたのは、鴻上尚史と第三舞台の旗揚げ作品にして出世作となった『朝日のような夕日をつれて』。
とくれば、「ゴド待ち」のことやつかこうへいからの影響、そして鴻上尚史とその同世代者にとっての切実さ痛切さということになるのだけれど、演者スタッフ陣より先輩格と思しき演出の酒井信古はひとまず置くとしても、小西君にとっては1980年代初頭の云々かんぬん(ただし、今回用いられたテキストは何回目かの改訂版を演者陣や吉田寮食堂の間尺に合わせたものとなっていたが)より何より、作品そのものの持つ疾走感が自らの表現欲求とぴったりしっくり重なり合っていたのではないか。
実際、小西君をはじめ、黒須和輝、土谷凌太、中西良友、中原匠という演者陣が汗いっぱい(いっとう前の席だったが、ぴしゃっぴしゃっと彼らの汗が飛んできた!)つばきいっぱいになって、ところ狭しと動き回り速射砲のように台詞を吐きだす姿には、どうにもこうにも心を動かされずにはいられなかった。
物語のピーク以降、若干ペースが減速した感はありはしたものの、自虐性に富んだメタネタや細かいくすぐり等笑いの仕掛けもテンポよく決まっていて、二時間の上演時間がとても短く感じられた。
そして、演者陣の直球勝負の演技には好感を抱いた。
ひょんなことが重なっての観劇だったが、これは観ておいて正解だった。
ああ、面白かった!