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ブランカニエベス

☆ブランカニエベス Blancanieves(2012年、スペイン・フランス)

 監督・脚本:パブロ・ベルヘル
 撮影:キコ・デ・ラ・リカ
 音楽:アルフォンソ・ヴィラロンガ
 美術:アラン・ベイネ
(2014年1月6日、京都シネマ・3、16時40分上映の回)


 先日『アメリ』を満席で観損ねたとき、少し待てば『ブランカニエベス』の上映が控えていたんだけど、ポスターをちら見して、「うわっ、黒いし暗いじゃん、正月三日だよ」とパスしてしまった。
 でもね、なあんか心にひっかかるものもあってネットで確認してみると、モノクロサイレント、しかも年末『撮影されない三本の映画』ってエッセイ風の短篇小説でこちらが題材に使ったグリム童話の『白雪姫』がネタ元になってるてんだから、これってちょっと面白そうじゃない。
 と、言うことで、新年一本目の映画にこの『ブランカニエベス』をチョイスしたんだけど、いやあこの作品、想像していた以上、実に面白かった。

 上述した如く、おなじみ『白雪姫』を1920年代のスペイン・アンダルシア地方に置き換えて(勘違いかもしれないが、当時のスペイン国王アルフォンソ13世の名前がプレートに書かれていたのでは)、そこに闘牛やらフリークス(なにせ、『白雪姫』っていえば、七人の小人ですから。ん?七人?)やらと諸々盛り込まれた物語で、1時間40分があっと言う間に過ぎていく。
 どきどきわくわくさせられる場面やぐっと心動かされる場面と、ドラマのつくりがはっきりしている上に、先達たちへのオマージュやグロテスクな笑い、ずらしそらしにも欠けていない。
 かてて加えて、思考の鍵というか、物語の設定やキャスティング等、アクチュアリティに満ちたスリリングな仕掛けにも富んでいて、一粒で何度も美味しい映画に仕上がっていた。
 役者陣の豊かな表情に、アルフォンソ・ヴィラロンガの作品によく沿った音楽(管弦楽はブリュッセル・フィル)もあって、サイレントであることをついつい忘れてしまいそうになったほどだ。
 また、光と影のコントラスト、空に雲に風景にと、モノクロの魅力も存分に発揮されていた。

 主人公のブランカニエベス(白雪姫)、実はカルメン、を演じたマカレナ・ガルシア(滝川クリステルっぽい)や、その子供時代を演じたソフィア・オリア(かわいい)、滑稽ですらある悪役ぶりが印象的な継母エンカルナを演じたマリベル・ベルドゥはじめ、小人の闘牛士たちらメインばかりか、端役黙役にいたるまで役者陣は存在感があって好演。
 寓話的な作品にリアリティの重みを与えていた。

 ラストを含め、好みは大きくわかれるかもしれないけれど、僕は観ておいて大正解だったとつくづく思う。
 ああ、面白かった!
by figarok492na | 2014-01-06 22:17 | 映画記録
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