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カルタ遊び その9

 森。木々の隙間から陽光がこぼれている。
 初老の女、舞台奥下手側の大きめの石に腰掛け、ステンレス製の水筒から柿の葉茶を飲んでいる。
 初老の男、舞台中央上手寄りに立って、手にしたステッキで地面を軽くつついている。

女「ねえ」
 男、反応しない。
つつき続ける。
女「ねえ」
 まだ反応しない。
女「ねえ」
男「(つつくのを止めて)なんだい、急に大きな声出して」
女「だって」
 女、柿の葉茶を口に含む。
 男、軽く舌打ちする。
女「今朝の味噌汁、辛くなかった」
 鳥の鳴き声がする。
男「田舎だから、なんでも塩辛いんだよ」
女「卵焼きは薄味だったけど」
 女、リュックから飴の袋を取り出す。
女「いらない」
 男、一瞬振り返る。
男「いいよ」
 男、再び前を向いて地面をつつき始める。
 鳥の鳴き声がする。
女「鳴いてるわね」
男「(長い間)ミソサザイだよ」
女「ミソサザイ」
男「うん」
女「そう」
男「小さな鳥さ」
 女、柿の葉茶を再び口に含む。
女「あれ、猛(たける)かしら」
 男、振り返る。
男「おい」
 女、反応しない。
 鳥の鳴き声がする。
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by figarok492na | 2014-09-05 11:32 | カルタ遊び
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