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京都学生演劇祭2014 中瀬宏之の極私的な賞

☆京都学生演劇祭2014 中瀬宏之の極私的な賞


 今年度の京都学生演劇祭が、今夜無事終了した。
 まずは、実行委員の皆さん、沢大洋さんをはじめとしたサポートスタッフの皆さん、審査員並びに観劇レポーターの皆さん、その他関係者の皆さん、そして参加全団体の皆さん、本当にお疲れ様でした。
 今回、初めて設けられた観劇レポーターという立場で参加15団体の全上演を拝見しましたが、その上演作品にかける真摯な姿勢と熱意に心を強く動かされるとともに、同じ表現活動に携わる人間として大きな刺激をうけることができました。
 この場を借りて、心よりお礼を申し上げます。
 すでに京都学生演劇祭賞として劇団西一風、審査員特別賞としてコントユニット左京区ダバダバの二団体が選ばれ、さらに審査員特別賞も発表されているにも関わらず、こうして極私的な賞を推薦することはおこがましさを感じてしまうのですが、参加者の皆さんの今後の活動の一助となればとも思い、ここに発表させていただきます。
 なお、技術面精神面等での詳細な評価は松原利巳さん、橋本裕介さん、柳沼昭徳さんという全幅の信頼のおける審査員の皆さんにお任せして、この賞は、あくまでも自分自身の受けた印象と心の動きを元に推薦しております。
 その点、ご了解ください。
 また、推薦に際してのコメントの有無に他意はありません。
 詳細をお知りになりたいという方はお気軽に中瀬のほうまでご連絡ください。


 1席(1団体)
 *最優秀作品賞:劇団西一風『いちごパンツを撃鉄に』
 脚本、演出、演者陣の演技ともに圧倒的な精度を持った内容でした。
 圧巻脱帽です。
 作演出の岡本昌也君、並びに西一風の面々のさらなる愉しみにしています。


 2席(3団体)
 *最優秀ステージ賞:ルサンチカ『星の王子さま』
 演出・演者陣・スタッフの能力と表現意欲の高さが如実に示された上演でした。
 京都学生演劇祭のルールについて問題提起をしたという点への評価とともに、その問題点を指摘するという意味でも、あえてステージ賞に推薦します。
 次回の本公演が待ち遠しいです。

 *最優秀脚本兼演出家賞:劇団ACT『めまい』(一人静君)
 組織集団社会の持つ悪意等を、今現在慣れ親しまれている演劇的手法を積極的に取り込みながら表現した意欲作で、大いに好感を覚えました。
 より丁寧に書き込まれた長尺の作品にぜひとも接したいです。

 *同:コントユニット左京区ダバダバ『ゴリラ殺人事件』(寺岡慎一郎君、谷畑仁君)
 駄弁を弄する必要なし。
 みうらじゅんも大喜びすること間違いなしの、くっだらなそうで、その実一筋縄ではいかない充実した作品。
 演者陣も魅力たっぷりで、ほんと大好きだなあ!


 *優秀作品賞:ウトイペンコ『タイヤキ』
 *同:ヲサガリ『転校生13号』
 *同:スーパーマツモト『2丁目5番地どんどん軒』

 *優秀脚本賞:ヒラタユミ
(ナマモノなのでお早くお召し上がりください。『書くという病』)
 正直、舞台そのものには厳しさを感じもしたのですが、第2回、第3回に続くヒラタさんの表現内容の変化と表現意欲の強さに関して評価するとともに、さらなる研鑚を願う意味で推薦します。


 *最優秀アンサンブル賞:劇団西一風
 隙のないアンサンブルに心を強く動かされました。

 *同:劇団ACT
 まずもってゼミのシーンでのやり取りに感心しました。
 その後の変化も含め、作品世界によく沿ったアンサンブルが築かれていたと思います。

 *同:スーパーマツモト
 古い笑いが大好きな人間のため、観劇記録では厳しめの感想になってしまいましたが、笑いにかける真摯さとまとまりのよさには好感を持ちました。
(以上3団体に関しては、個別に記載する以外、全ての出演者が優秀助演女優賞、同男優賞ということになります)


 *最優秀主演女優賞:近藤千紘さん(ルサンチカ)
 圧倒的な演技でした。
 最後の最後まで目が離せない、まさしく女優中の女優だと感じました。

 *同:中野愛子さん(コントユニット左京区ダバダバ)
 近藤さんとは対極的な、それでいて舞台上の魅力という点ではやはり落とせない演者さんです。


 *最優秀主演男優賞:森脇康貴君(劇団西一風)
 隙のない西一風の演者陣の中で、その最たるものが森脇君でした。
 田中次郎君をベースに井上達也君のおかしさを加えて一層磨きをかけた逸材だと思います。

 *同:野村眞人君(ウトイペンコ)
 その存在感、舞台上での真摯さ、登場人物との一致等々、技術云々を超えて魅了されました。
 今後もぜひとも演劇活動を続けていって欲しいです。

 *優秀主演男優賞:岡田拓洋君(劇団愉快犯)

 *同:辻和鷹君(劇団蒲団座)
 小心さの裏側にある傲慢さ冷酷さの表現に感心しました。


 *最優秀助演女優賞:天顔愛咲さん(劇団西一風)
 西一風では、山下裕英さんと小川杏子さん、三善このみさんの演技も秀でていたのですが、(前情報一切なしの主観を記すと)天顔さんは何かをきっかけにして演劇活動から去ってしまうのではないかと僕には感じられてしまいました。
 ですので、この推薦が何かの重石に、いや彼女の場合、たぶん重石になどならないでしょうが(だからこそあの演技なのだと思います)、天顔さんという魅力的な演者さんがいたということを記憶するため、あえてこの賞に推薦します。

 *優秀助演女優賞:近衛ひよこさん(劇団愉快犯)
 安定度を増した演技と「熊」!

 *同:竹本てんさん(劇団月光斜TeamBKC)
 川北唯さんを黒木メイサ寄りにしたような存在感が強く印象に残りました。

 *同:南風盛もえさん(ルサンチカ)
 どうしても近藤さんに注目が集まるかもしれませんが、南風盛さんの抑制のきいた演技も魅力的です。
 翻訳物、岸田國士や森本薫の作品での演技にも接することができれば。


 *最優秀助演男優賞:古野陽大君(ウトイペンコ)
  兼京都学生演劇祭特別功労賞
 これまた全く前情報なしですが、演技でのサポートともに、古野君の舞台・作品そのものへのサポートがよくうかがえました。
 その点はやはりしっかり評価されてしかるべきでしょう。
 また、前々回前回の参加も含めて、京都学生演劇祭における古野君の存在感と果たした役割について別途、特別功労賞を推薦します。

 *同:瀬戸沙門君(ルサンチカ)
 その表現力と演技の熱量に感嘆しました。
 瀬戸君の様々な役柄に接してみたいです。

 *優秀助演男優賞:黒須和輝君(第三劇場)
 *同:かっちゃん君(劇団月光斜TeamBKC)
 *同:地道元晴君(ルサンチカ)
 *同:高橋太樹君(ヲサガリ)


 *最優秀女性キャラクター賞:笠村奈那さん(劇団S.F.P.)
 ちょっと痛い感じから、エキセントリックで狂気を孕んだキャラクターの変化は、すぐさま今年のキャラクター賞はこの人だと決断しました。

 *同:荒井希実子さん(スーパーマツモト)
 おもろそうなことをやればおもろいだろう、おもろそうなキャラをつくればおもろい人に観えるだろうという安易な発想とは無縁の丁寧なキャラクター造りが流石でした。


 *最優秀男性キャラクター賞:小川晶弘君(ヲサガリ)
 マイルドな萩本欽一とでも呼びたくなるような「ソフトなSっ気」全開のキャラクターづくりを愉しみました。
 常識ある人をじわじわと攪乱していく設定は、今後も小川君の武器になると思います。
 人気者になれ!

 *同:大休寺一磨君(スーパーマツモト)
 その熱気、暑さ暑苦しさ!!!
 でも、この推薦がかえってそのキャラクターの一時封印につながればとも思います。
 ぜひシリアスな大休寺君の演技にも接したいので。

 *優秀男性キャラクター賞:黒須和輝君(第三劇場)
 黒須君は唯一の同時受賞です。
 団内団外での活躍に期待します。

 *同:西澤和浩君(コントユニット左京区ダバダバ)
 いやあ、この人はいい!!
 また観たい!!

 *同:安達誠君(劇団蒲団座)
 山西竜矢君と横山清正君を足して二で割ったような雰囲気の持ち主。
 いやあ、いいキャラクターです。


 *最優秀音楽賞:劇団西一風
 *同:劇団ACT
 特に、西一風ではベートーヴェンの交響曲第7番の第2楽章、ACTではバッハのゴルトベルク変奏曲とバーバーの弦楽のためのアダージョが効果的でした。


 *敢闘賞:劇団蒲団座
 現在活動する所属団員の中で果たして何ができるか。
 そのことに対する誠実さ、真摯さ、熱意がよく表われた舞台でした。


 *努力賞:劇団トポス
 今回初出場のトポスには、ぜひとも捲土重来、機会が許すかぎり次回以降も京都学生演劇祭に参加していって欲しいです。
 その努力研鑚を期待して。


 *最優秀インパクト賞:ナマモノ・ヒラタユミさんの文金高島田姿
 ヒラタさんには不本意かもしれませんが、あの姿はやはりインパクト賞に推薦せざるをえません。
 印象に強く残りました。


 *最優秀シーン賞:劇団月光斜TeamBKC『人を呪わば?』
 竹本てんさん演じる竹中弥生が翠の子ぎつねさん演じる尼ちゃんににじり寄っていくときの切迫感とエロティックな様に。


 *特別賞:古賀友太君(劇団月光斜TeamBKC)
 演技そのものに加え、ラップの歌唱に対しても。

 *同:高市章平君(ルサンチカ)
 技術的な精度の高さだけではなく、感情の表出表現という意味でも、彼の長台詞は特別に推薦に値すると思います。
 今後の活躍を愉しみにしています。
by figarok492na | 2014-09-06 04:33 | 観劇記録
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