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クルレンツィスの『コジ・ファン・トゥッテ』

☆モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』

 指揮:テオドール・クルレンツィス
管弦楽:ムジカ・エテルナ
(2013年1月/デジタル・セッション録音)
<SONY/BMG>88765466162 3枚組


 ばたばたしていて感想を記すのが相当遅くなってしまったけれど、テオドール・クルレンツィスと手兵ムジカ・エテルナが進めている、モーツァルトのダ・ポンテ三部作録音の第二弾となる『コジ・ファン・トゥッテ』は、クルレンツィスの楽曲解釈とそれによく応えた管弦楽・合唱、そして粒揃いの歌い手による、まさしく三位一体と呼びたくなるような充実した内容となっていた。
 前作『フィガロの結婚』でも示されていたように、クルレンツィスはメリハリの効いた音楽づくりで活き活きとして停滞しない演奏を生み出している。
 もちろん、「恋」「愛」を通じた人の心のうつろいと激しい感情の動きが肝な『コジ』だけに、単なる鋭角的な処理が行われるのではなく、描かれる場面、対象に合わせた細やかな変化が施されていることも確かだ。
 加えて、クルレンツィスが杓子定規にいわゆるピリオド奏法を援用しているわけではないことも、やはり忘れてはなるまい。
 例えば、第2幕のデスピーナのアリアでの休止の取り方など、のちのベルカント・オペラやヴェルディのオペラやヨハン・シュトラウスのオペレッタへの影響、ばかりでなく、逆にそれらの作品の反映のようにも感じられた。
 声質の好みという点では正直全てがストライクゾーンではないし、テイクの選択に関しても気になる点がないではないものの、ジモーネ・ケルメスのフィオルデリージ以下、歌手陣も、クルレンツィスによく沿った歌唱とアンサンブルを披歴している。
 中でも、デスピーナを歌ったアンナ・カシヤンの芝居達者ぶりが強く印象に残った。
 何度聴いても聴き飽きない、快活で耳なじみのよい演奏・録音な上に、2000円前後でこれが手に入るというのだから、掛け値なしにお薦めだ。
 そして、ギリシャ出身でありながら、どこかドストエフスキー的な雰囲気を醸し出しているクルレンツィスが、『ドン・ジョヴァンニ』で如何なるデモーニッシュな世界を再現してくれるか、とても愉しみである。
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by figarok492na | 2014-12-19 16:49 | CDレビュー
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