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ネオラクゴ・カルティベイトⅳ『濁・フィルトレイション』(月亭太遊さんのネオラクゴ企画)

☆ネオラクゴ・カルティベイトⅳ『濁・フィルトレイション』

(2015年4月29日20時半開演/ライト商會2Fギャラリー)


 今は亡きオーストリア出身の世界的名ピアニスト、フリードリヒ・グルダに『グルダ・ノン・ストップ』<SONY>というタイトルの魅力的なアルバムがある。
 休憩なしでグルダが心おもむくままにピアノ作品を弾き連ねたミュンヘンでのコンサートのライヴ録音を収めたもので、クラシックの大家でありながら終生ジャズを愛し続けた彼らしい、変幻自在、計りつつも愉しむ、なおかつ自らの想いがストレートに示された、実に聴き応えのある一枚だ。
 その伝でいけば、ゲストなしで月亭太遊さんが語り続けた今夜のネオラクゴ・カルティベイトは、まさしく『タイユウ・ノン・ストップ』ということになるだろう。
 いや、すでに大阪で『太遊のまつり』なる同スタイルの会を開催していたというから、無理に他人の企画の名前をなぞる必要もないか。

 思うところあって事業をリタイアしたおっさんが自分の見た摩訶不思議奇妙奇天烈不条理不気味な夢を淡々と語る、で、それがなんとテーマパークというのだから、なんやこれはと口にするほかない、ネオラクゴ度高濃度の『山城ヨチムーランド』(ネオラクゴ・フロンティアsection25、2015年3月30日)。
 生まれたとたん凶事を預言して死ぬという、頭は人間、身体は牛の「件(くだん)」をユーモラスに、そして鋭いメッセージをこめて描いた『にんべんにうし』(section15、2015年1月19日)。
 ロールプレイング・ゲームの台詞を考える達人と、まじめ過ぎる社員のずれたやり取りが滑稽な、その名もずばり『RPGの村人のセリフを考える仕事をしている人』(section21、2015年3月2日)。
 興味深い伝統風習を持つ村、と思いきや実は…、というイミテイ村を舞台とした、もはやネオラクゴの十八番と呼ぶべき『来て!観て!イミテイ村』(section5、2014年11月30日他)。

 と、それこそ「語りは騙り」と評したくなるような4作品はもちろんのこと、ブリッジにあたるおしゃべりの部分がまたいい。
 ネオラクゴが持つ民俗性土着性の源流や、漫才を含むこれまでの積み重ね、太遊さんの今現在の想いや考え方等々、ネオラクゴの背景根底にあるものが、ふんだんな笑いとともに披歴されていて、とても面白く聴き応えがあった。
 あっという間の約100分で、ワンマン・ライヴの良さが十二分に発揮された会だったと思う。
 ああ、面白かった!

 フロンティアもいいけど、カルティベイトも忘れちゃいけないな、やっぱり。
by figarok492na | 2015-04-30 03:42 | 観劇記録
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