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連続ドラマ『フェイク・ショウ episode0』を観終えて

☆連続ドラマ『フェイク・ショウ episode0』を観終えて

 脚本・監督:作道雄、橋ヶ谷典生
 制作・著作:クリエイティブスタジオゲツクロ

 無事クラウド・ファンディングが達成した、クリエイティブスタジオゲツクロ制作のネット連続ドラマ『フェイク・ショウ episode0』全四話が公開された。
 ようやく最終話まで観終えたので、その感想を記しておきたい。

 若手中堅では屈指の実力の持ち主と評されもする揚鳥亭翔鳥(月亭太遊)だったが、心のうちでは笑いというものに疑問を抱き、落語家を辞めようかとすら悩んでいた。
 そんな中、翔鳥は落語ユニットSAGEを組む「相棒」でイケメン落語家七色亭桜餅(桂あおば)やドキュメンタリー番組のクルーとともに、オコノ村を訪れる。
 ところが、このオコノ村は、村人たちが自らの笑いを禁じた奇妙な村で…。
 といった具合に、『フェイク・ショウ episode0』は進んでいく。

 限られたスケジュールや限られた予算ということもあってだろう、最終話ともなると造り手側の苦心惨憺ぶりや、先行する諸作品からの影響が色濃くうかがえもしたが、フェイク・ドキュメントという手法を駆使したり、太遊さんがネオラクゴ・フロンティアなどで時折口にしている笑いに関する考え方を巧く取り込んだりしながらこうやって全四話をテンポよくまとめ上げた点を、まずは高く評価したい。

 役者陣では、太遊さんの辛抱立役ぶりがいっとう印象に残る。
 周囲の役者陣ばかりでなく作品全体に目を配りつつ、なおかつフェイク・ドキュメントという手法を意識した演技を強く心掛けていたように感じた。
 儲け役は、ファミリーレストランのハラダさん。
 茶川一郎を相当モダアンにしたような雰囲気で、細かいくすぐりに平場での演技と芸達者ぶりを発揮していた。
 KBS京都のラジオ番組でも承知していたが、ナレーション(声)もいい。
 一方、少し損をしていたのが、あおばさんではないか。
 ハラダさんや他の面々に伍してドラマ的な演技で努力していたが、その分経験不足が目についたような気がする。
 もちろん、あおばさんの素の魅力も要所要所で表われてはいたのだけれど。
 吉本新喜劇の佐藤太一郎の巧さは言うまでもないが、京都造形芸大の映画学科で研鑚を積んだ吐山ゆんの感や勘のよさ、伊藤こずえの理と智に秀でた演技も忘れてはなるまい。
 ほかに、ベテランの鈴木ただしらが出演。
(中瀬宏之も出演)

 地上波でのシリーズ化に際して課題も明らかになったと思う反面、遊び心、試し心、攻め心に満ちたドラマが造り出されるのではという大きな期待が持てる。
 フェイク・ドキュメントという手法を継続するのであれば、ドラマとドキュメントのバランスが重要だろうし、「フェイク」の部分に重きを置いてドラマに徹するのであれば、脚本の一層の練りや捻りが鍵になるだろう。
 キャスティングも含めて、作道君たちの腕の振るいどころ、頭の働かせどころだと思う。
 今後の展開が本当に愉しみだ。
by figarok492na | 2015-08-31 13:50 | 映画記録
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