☆ネオ落語・セントラル 第13回
出演:桂三幸さん、桂三河さん、月亭天使さん、月亭太遊さん、桂恩狸さん、センサールマン (2016年1月11日20時開演/錦湯) 三連休の最終日ということで、入りはどうかなと思っていたらこれが大盛況。 13回目となるネオ落語・セントラルは、上述の如く総計7人が出演する豪華版に相応しい大勢のお客さんが集まっていた。 太遊さんたちは、むらさき湯でのちゃいちゃい寄席からの移動ということで、まずは三幸さんと恩狸さんのトークでスタートする。 で、すでにこのネオ落語・セントラルのトークで話題となったプライベートの出来事に関して恩狸さんが進展状況を語っているところで、太遊さんたちが戻って来る。 恩狸さんが司会進行を務めるという体でトークが再開されるが、当然の如く(?)太遊さんらから恩狸さんの仕切りに関して突っ込みが入った。 30分ほどトークで盛り上がってから、恩狸さんが新作『落語グランドチャンピオン』のネタおろしに挑む。 落語グランドチャンピオンなる企画の決勝戦に突然参加することになった男性の話で、今夜は途中まで。 落語好きが喜びそうなネタが盛り込んであるのだけれど、それより何より大暴投もあえて辞さずという恩狸さんらしさが強く印象に残った。 やってる感全開。 続いては、天使さんが古典の『田楽喰い』をかける。 ただで酒の肴ばかりか、酒そのものまでご馳走にあずかろうという男たちだったが…。 というおなじみの展開。 恩狸さんの高座についてちらと言及したマクラもそうだけど、ここのところの歯切れの良さや間合いの良さを計った口演を聴きながら、落語家であること、落語を語ることについての天使さんの意識意志がうかがえるように感じた。 そうそう、はじめの辺りで本題と全く関係ない(金を払う段になって「財布を忘れた」と平然と口にする)ところでついつい笑ってしまったのは迂闊だった。 どこで笑おうが客の勝手という言い草もあるだろうが、これはいけない。 まるで東京の魚市場で京都の鶏肉をさばくような所業だもの。 三番目に登場したのは、センサールマンのお二人。 山崎仕事人さん扮する子供に「お馬さんごっこがしたい」とせがまれた愛植男さん扮するお父さんだったが…。 一歩間違えるとコースを大きく外れて逸走、あわや落馬、という危険もなくはないところを、そこは見事な手綱捌きできわきわの線を駆け抜け走り抜け、しっかり大きな笑いを生み出してゴールしていた。 センサールマンはやっぱり面白い。 三幸さんは、師匠文枝さん(三枝さん時代)の新作『お忘れ物承り所』を演じた。 センサールマンのお馬さんネタで有馬記念での怒りを思い出し、そこから最近腹の立ったことをマクラで畳みかけたあと本題に入ったが、駅の遺失物係を題材にしたこちらのほうはしっかり丁寧に演じて小刻みに笑いをとっていた。 作品自体よく出来ているなあ、とも感心した。 一方、三河さんは自作の『渚のスイート』を再演した。 2014年の11月というから、ネオラクゴ・フロンティアが始まってまだ最初の頃に一度演じられた作品で、とあるメイド喫茶が舞台。 若いかわいいバイトの新人さんに、年長の先輩メイドが仕事のやり方を示してみせるという内容だけど、二人目のメイドさんのルーティン的な「失敗」がやはりおかしい。 そして、女性間のじわりとした悪意もいい隠し味となっている。 (こうして、三河さんの落語を聴いただけでメイド喫茶に行った気になれるなあ。実際に行かなくっても平気だなあ。えっ、違う?) トリは、太遊さんのネオラクゴの語りおろし(降臨)『桃源郷(ザナドゥー)』。 門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし。 という一休禅師の作と伝えられる狂歌をついつい思い出してしまいたくなるような、ネオラクゴらしい展開。 幼稚園の教育実習を行っている先生のたまご二人が、桃太郎の続篇を発表の題材に選んだまではよかったが…。 後半のきれ具合、いききり具合が何重の意味でも「おかしい」。 そして大いに笑いつつも、喪黒なんとかに指を突き付けられるように、日々打ち震えていることを改めて目の前に突き付けられた気分になったことも確かだ。 新年にネタオロシされるべくしてネタオロシされた作品だった。 最後は、再び恩狸さんの仕切りという体のトークで〆た。 気がつけば22時過ぎ。 おせちのお重に、カレーもケバブもビーフストロガノフもフカヒレスープもついてきたような盛りだくさんのネオ落語・セントラルでした。 ああ、面白かった! そして、来週も月曜20時は錦湯さんにぜひ!!
by figarok492na
| 2016-01-12 03:12
| 落語・ネオ落語記録
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