☆ネオ落語・セントラル 第17回
出演:桂三四郎さん、月亭太遊さん、月亭方気さん、月亭八織さん (2016年2月8日20時開演/錦湯) 2月も2週目。 暦の上では立春を過ぎたとはいえ、まだまだ寒い日が続いているが、17回目となるネオ落語・セントラルはいつもの如く熱く、暖かくわいていた。 今回は桂三四郎さんに月亭八織さんと、初出演の方がお二人もいたので、常連さんに加えてご新規さんも来場し、重畳重畳。 まずは、月亭太遊さんと八織さんのトークから。 初お目見えということで、さぐりさぐりの八織さんは袴姿がよく似合っている。 で、一番目の月亭方気さんが演じたのは、おなじみ古典の『看板のピン』。 もともと方気さんには親近感を抱いていたが、マクラで同じ痛風とわかり、ますます親近感を抱く。 って、同病相哀れむじゃ困るけど、方気さんならそこは無問題。 押さえるべきところはきっちり押さえつつ、独自のくすぐりもしっかり仕掛けてきて、改めて方気さんは達者だなあと感心した。 もちろん、それより何よりおかしかったけど。 続いて、八織さん。 月亭八方さんのお弟子さんである八織さんが俳優出身であったことは、共演者の共演者を通じたりして以前から知っていたのだが、終了後の交流会でお話をうかがって、亡くなられた塩屋俊さんの下で研鑚、映像畑からスタートしたことがわかった。 確か大阪芸大の映画に出演されていたのも、その繋がりからかな。 八織さんは、これまたおなじみ古典の『寿限無』をかけた。 ただし、女性が演じるということを踏まえた工夫も施されており、新たなくすぐりでも笑いをとっていた。 登場人物の色分けもくっきりしていたのではないか。 その口跡に「ぼたんたん」高橋牧子、演じ分けに「お梅どん」臼間香世と、『あかんたれ』コンビをふと思い起こす高座で、名人風に語り込むより、「見せたい(魅せたい)」落語家さんといった印象を強く受けた。 三番目は、満を持して桂三四郎さんが登場する。 桂文枝さんの13番目のお弟子さん三四郎さんといえば、もう5、6年になるかな、MBSラジオの『ヤンタン』日曜日レギュラーでの鶴瓶さんらとの掛け合いを時々愉しんでいるのだけれど、今夜はそれはそれこれはこれ、東京に拠点を移して活動する三四郎さんの落語家としての力量がよく表れた高座に仕上がっていた。 一つ上の兄弟子で、ネオ落語セントラルではおなじみ桂三幸さんの話題などを盛り込んだマクラからして、場の空気を読み取り、お客さんの心を掴む。 そして、演じた新作も、設定や話の展開自体はなじみ易くわかり易いものでありながら、そこに言語感覚の鋭さ、考える芽のようなものも含まれていて、良い意味で一筋縄ではいかない。 まさしくネオ落語・セントラルに相応しい作品だった。 才気煥発、それでいて独特のフラがあり、イケメンでもある三四郎さんの今後のさらなる活躍を愉しみにしたい。 そして、トリは太遊さんのネオラクゴ新作『リク、踏み出せばいいんだ』。 ネオ落語・セントラルの第14回で演じられた『スペクタクルボーイ』に登場した、ひきこもり青年「アマリリク(甘利じゃないよ)」が再登場する『リク、踏み出せばいいんだ』は、太遊さんがラップ落語(らぷご)と命名した通り、ラップが肝となる作品で、太遊さんのバーバル・センスの高さが十二分に発揮されている。 錦湯での会の開始から一年半が過ぎ、遂にネオラクゴも新たな境地に達したといえば大げさだろうか。 今夜は出来たてということで万全を期した高座だったが、これからはひと際即興性に富んだらぷごに接することができるのではないか。 ますます太遊さんから目が離せない。 そのまま、太遊さん仕切りによる大喜利のコーナーへ。 お手伝いの作家さん桜井さんが考案した「自動車教習所のロマンチック過ぎる教官の指導とは」、「同じクラスの松本君が宇宙人だとわかった理由」、「それはなんやねんと思った星占いの内容」といったお題に、三四郎さん、方気さん、八織さんが解答を重ねていた。 最後は、三四郎さんと太遊さんが交代したが、太遊さんの描く絵(マンロー・リーフとかaikoが描くようなユニークな絵)がまた愉しかった。 と、新しい風が吹きまくったネオ落語・セントラルでした。 ああ、面白かった! 次回はどんな風が吹くか? 月曜20時は、皆さんも錦湯さんへぜひ!!
by figarok492na
| 2016-02-09 03:07
| 落語・ネオ落語記録
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