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村上敏明リサイタル

☆村上敏明リサイタル

 独唱:村上敏明(テノール)
 伴奏:福田和子(ピアノ)

 会場:京都コンサートホール小ホール アンサンブルホールムラタ
 座席:1階 4列8番
(2016年2月26日18時半開演)


 京都芸術劇場春秋座等でいろいろとお世話になった橘市郎さんからお招きを受けて、橘さんが代表を務める一般社団法人 達人の館が主催する、テノール歌手村上敏明のリサイタルを聴いた。
 「魂を揺さぶる情熱の歌声!!」
 とは、公演チラシの惹句だが、それが全てを表していると言っても過言ではないだろう。
 歌声の喜び、歌声の愉しさに満ち満ちた、とても聴き応えのあるリサイタルだった。

 村上敏明は国立音楽大学声楽学科を卒業後、長くイタリアで研鑚を積んで帰国し、藤原歌劇団に所属して同団の公演に出演するほか、新国立劇場などオペラを中心に活躍している。
 2012年以降、NHKのニューイヤーオペラコンサートに連続して登場しているから、そちらでご存じの方も少なくないのではないか。
 村上さんの特性魅力は、なんと言っても強靭な声帯(しっかりとした首周り!)から生み出される声量があって、張りと伸びのある美しい歌声だろう。
 特にフォルテの高音部分では、魂とともにホール全体がびりびりと震えるかのような迫力である。
 今夜は、『帰れソレント』や『カタリ・カタリ』といったナポリ民謡に始まり、リストの難曲『ペトラルカの3つのソネット』に挑んだ一部と、日本歌曲とオペラ・アリアを並べた二部の、二部構成だったのだけれど、冒頭から喉全開という感じだったのに、歌を重ねるごとにさらにテンションが高まって、150パーセント、200パーセントのパワーとでも呼びたくなるような歌いっぷりになっていた。
 中でも、二部後半のヴェルディの歌劇『ルイザ・ミラー』から「穏やかな夜には」~「私に祭壇と墓場が用意された」と歌劇『イル・トロヴァトーレ』から「ああ、愛しい人よ」~「見よ、あの恐ろしい炎を」、プッチーニの歌劇『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」は、村上さんの十八番ということもあってか、手放しで興奮。
 そして、村上さんのショーマンシップが十二分に発揮された4曲のアンコール、河野進作詞、川口耕平作曲の『よかった』、プッチーニの歌劇『トスカ』から「星は光りぬ」、ヴェルディの歌劇『リゴレット』から「女心の唄」、『オー・ソレ・ミオ』(ラストの部分を最後にもう一度歌った!)には、脱帽するほかなかった。

 出会ってから15年ほど経つという関西のベテラン福田和子は、村上さんの歌唱によく沿ったピアノ伴奏を行っていた。
 ピアノ・ソロのマスカーニの歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲(一部)、レスピーギの6つの小品から「間奏曲-セレナーデ」も、出しゃばり過ぎず退き過ぎず、滋味あふれた演奏だった。

 そうそう、ショーマンシップといえばマイクを手にしてのおしゃべりを忘れちゃいけない。
 ユーモアを交えながら、音楽の要所を簡潔に説明する村上さんのおしゃべりは、全く邪魔になっていなかった。
(福田さんもレスピーギのあとに話をされていて、予想外に軽い語り口にちょっと驚く)

 いずれにしても、足を運んで大正解のリサイタルでした。
 ああ、素晴らしかった!!
by figarok492na | 2016-02-27 00:23 | コンサート記録
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