☆シューベルト:ピアノ5重奏曲「ます」、アルペジオーネ・ソナタ、ノットゥルノ
ジョス・ファン・インマゼール(フォルテピアノ)
ラルキブデッリ
<SONY>SK63361
前回に引き続き、ピリオド楽器のアンサンブルによるシューベルトの室内楽曲のCDを聴く。
今回のメインは、おなじみピアノ5重奏曲の「ます」(第4楽章の変奏曲の主題に、歌曲『ます』の旋律が引用されていることから、この愛称がついている)で、演奏は、フォルテピアノのジョス・ファン・インマゼールとラルキブデッリによるものである。
で、これはもう、躍動感にあふれた、それこそ、ますがぱちぴちぱちぴちと飛び跳ねているような、活きのいい演奏と呼ぶ他ない。
音楽の流れに身をゆだねているうちに、全曲が終わってしまうのだ。
ジョス・ファン・インマゼールのフォルテピアノは機智に富んでいるし、ラルキブデッリのアンサンブルも、弦楽5重奏曲に比べるとさらに流麗で練れていて、ピリオド楽器演奏のみならず、全ての「ます」の録音の中でも、屈指の演奏だと僕は思う。
そして、カップリングの2曲も魅力充分の演奏だ。
アルペジオーネ・ソナタは、アンナー・ビルスマのチェロ・ピッコロとインマゼールによるものだが、以前とり上げた鈴木秀美と小島芳子のペアに比べると、楽器のせいもあってか幾分渋めの感じがする。
また、ノットゥルノは、インマゼールとヴァイオリンのヴェラ・ベス、ビルスマによる演奏だが、シューベルトの音楽の持つ穏やかさや抒情性とともに、力強さ、堂々とした表情がよく表現されているのではないだろうか。
いずれにしても、聴き心地満点の優れた一枚で、多くの方にお薦めしたい。
大推薦。