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一日一枚 216:ショスタコーヴィチの室内楽曲

 ☆ショスタコーヴィチ:ピアノ5重奏曲、ピアノ3重奏曲第2番
  エリザベート・レオンスカヤ(ピアノ)
  ボロディン・カルテット
  <TELDEC>4509−98414−2

 今回は、昨日購入した、ショスタコーヴィチの室内楽曲のCDを聴く。
 収録されているのは、ピアノ5重奏曲とピアノ3重奏曲第2番の2曲だ。

 単純に聴けば、両曲とも、純音楽的な作品だと評することになるだろう。
 ピアノ5重奏曲のほうは、いわゆる新古典派的な雰囲気を持つ、シンプルでありながら巧緻に構成された作品であり、ピアノ3重奏曲第2番のほうも、ショスタコーヴィチらしい音型が数多く登場する密度の濃い作品に仕上がっているからだ。

 だが、本当に純音楽的な作品というものは存在するのだろうか?
 例えば、第2次世界大戦中に作曲され、親友の評論家ソレルチンスキーの追悼のために捧げられた3重奏曲に引用されたユダヤ的な旋律を、ただ「純音楽的」なものとして、僕は聴くことができない。
 少なくとも、この2曲の室内楽曲が、シリアスな内容を秘めた作品だと、僕は思う。
(もちろん、思い込みは禁物とはいえ)

 レオンスカヤとボロディン・カルテットは、一言で言って「真摯」な演奏を行っているのではないか。
 ボロディン・カルテットの渋い音色と、レオンスカヤの硬質な表現は、時に重苦しく感じられる部分もなくはないが、作品の持つ性質を適確に描いていることも確かである。

 いずれにしても、ショスタコーヴィチ・イヤーには相応しい一枚だと思う。
 中古で税込み662円は安い。
by figarok492na | 2006-07-09 13:25 | 一日一枚
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