☆ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第25番、第24番、第27番、第23番「熱情」
アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
<PHILIPS>442 787−2
前回に続いて、アルフレッド・ブレンデルの演奏する、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ集のCDを聴く。
今回は、第23番の熱情ソナタの他、第24番、第25番、第27番が収められた一枚を選んだ。
当然、この中では、おなじみ熱情ソナタをまずもって挙げざるをえまい。
第1楽章のものものしさや終楽章の直情的で直線的な劇性など、ベートーヴェン渾身の一作というか、彼の音楽観が全面に押し出された作品に仕上がっている。
ブレンデルは、一つ間違えれば暑苦しいだけに終わりかねない作品を、最後まで破綻することなく一篇のドラマとして丁寧に創り出していると思う。
(その分、物足りなさを感じるむきもあるかもしれないが)
また、他の3曲においても、ブレンデルは個々の作品の特徴を適確につかんだ演奏を行っているのではないか。
熱情ソナタだけではなく、残りの3曲も聴きものだろう。
(個人的には、第27番が特に印象に残る)
中古で、税込み1200円程度までなら、安心してお薦めできる一枚だ。