☆ガッロ:12のトリオ・ソナタ集
パルナッシ・ムジチ
1999年録音
<CPO>999 717−2
先日購入した、ドメニコ・ガッロの12のトリオ・ソナタ集を聴く。
ガロってナンガロ。
などと、木久蔵(間もなく木久扇)師匠も真っ青な言葉を口にしたくなるほど、巷間ほとんど名前の知られていないガッロだが、ブックレットをひもとくと、18世紀前半にヴェネツィアに生まれた、作曲家兼ヴァイオリニストらしい。
で、この12のトリオ・ソナタ集が彼にとっては主たる、というか、唯一残された作品なのだけれど、長い間ペルゴレージによる作曲と誤って伝えられていたというのだから、そりゃ知られるもへったくれもありゃしないという訳だ。
それじゃあ、なんでそんな作曲家の作品のCDを購入したかというと、このガッロの12のトリオ・ソナタ集こそが、僕の大好きなストラヴィンスキーのバレエ音楽『プルチネッラ』の「元ネタ」の一つだからである。
実際、CDをかけてみたら一目、ならぬ一聴瞭然。
あの『プルチネッラ』の序奏と同じメロディーが聴こえてくるではないか。
その後も、出てくる出てくる、あそこじゃここじゃ。
もちろん、『プルチネッラ』に引用された部分以外も、流麗かつ快活な美しさに満ちていて、実に聴き心地がよい。
ピリオド楽器のアンサンブル、パルナッシ・ムジチ(ヴァイオリン2、チェロ、チェンバロ)は、作品の性格や録音のかげんもあってか、いくぶん第1ヴァイオリンがきつめに感じられる部分もなくはないが、基本的には、作品の持つ魅力を十二分に引き出した、丁寧な演奏だと思う。
バロック音楽好き全般にお薦めしたい一枚だ。
なお、『プルチネッラ』がらみの部分にのみ興味がおありの方には、クリストファー・ホグウッド指揮セント・ポール室内管弦楽団の演奏による『プルチネッラ』全曲盤<DECCA>がお薦めかもしれない。
と、言うのも、『プルチネッラ』に引用されたガッロのトリオ・ソナタが、ホグウッド他の演奏でカップリングされているからだ。
ただし、残念ながらこちらは、ずいぶん前に廃盤になっている。