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久々の大外れ!?(CDレビュー)

 ☆シューベルト:交響曲第3番、第4番「悲劇的」他
  ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮
  エミリア・ロマーナ・アルトゥーロ・トスカニーニ交響楽団
  1991年(ライヴ)録音
  <FONIT CETRA>5051442-0651-2-1

 先日到着したHMVのCD第2陣から、ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮エミリア・ロマーナ・アルトゥーロ・トスカニーニ交響楽団*の演奏による、シューベルトの交響曲第3番、第4番「悲劇的」他のCDを聴く。

 LP時代末期にひっかかる人間からしてみたら、フォニト・チェトラってあんまりイメージのよくないレーベルなんだけど、まあ、今ではワーナー傘下だし、大好きなハンガリー風ディヴェルティメントのオーケストラ版も入っているし、交響曲第3番も第4番も大好きだし、オペラの指揮でならしたガヴァッツェーニの純器楽曲指揮も聴いてみたいし、という理由で購入したCDだったのだが。
 うむむ、これは久々の大外れ…。

 まずもって、CDをかけたとたん、アナログ時代の雰囲気に引きずり込まれてしまう。
 それも、ステレオ−LPをすっとばして、モノラル−SP時代の雰囲気に。
(もちろん、れっきとしたデジタル録音。けれど、かさかさとした録音具合や、オケの雑然とした感じがまさしくSPなのだ)

 で、お目当てのハンガリー風ディヴェルティメントもねえ。
 ヴィルジリオ・モルターリ(って誰だーり?)なる人物の編曲は、ウェットな曲調の合間に、フンガロン行進曲然としたジンタ調のファンファーレを詰め込むというやり口で、原曲の持つ分裂気質、じゃない統合失調症気質がさらに拡大されていて、耳のやり場がない。
(ガヴァッツェーニは、作品の持つ「両面性」をオペラ的に歌わせよう鳴らせようとしているのだが、いかんせんオケが…。第3楽章の金管のファンファーレの「ホウァワァワァワァー」という部分での音のもろ外れには、思わずこちらが「ホワッホワッホワッホワッホワァー」と叫んでしまったほど)

 交響曲のほうも、せっかくいい調子で歌っているなと思ったら、音がずれたりまとまらなかったりで、どうにもオーケストラの弱さが耳についてしまう。
 これで、オーケストラがミラノ・スカラ座のオケ、ローマ聖チェチーリア、とまでは言わなとも、統合されてしまったトリノ、ミラノ、ローマのRAI(イタリア国営放送)のオケのどれか、もしくはボローニヤかフィレンツェのオペラのオケだったら、もっとガヴァッツェーニの意図がうまく伝わっただろうに。

 残念ながら、「物好き」な方以外には、極力お薦めしかねる一枚だ。
(実際、HMVのレビューにも「だめ!」と記したんだけど、何度も聴いているうちに、結構はまってきている。あな、おそろしや…)

 *なお、今年ロリン・マゼールと来日するトスカニーニ交響楽団は、このCDのオーケストラは別団体のようなので、まずは「ご安心」のほど。
by figarok492na | 2007-08-20 14:45 | クラシック音楽
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