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ヴェーグのモーツァルト(CDレビュー)

 ☆モーツァルト:カッサシオン第1番、第2番、アダージョとフーガ

  シャーンドル・ヴェーグ指揮カメラータ・アカデミカ・デス・モーツァルテウムス・ザルツブルク

  1987年5月、デジタル録音
  <CAPRICCIO>10 192


 シャーンドル・ヴェーグとカメラータ・ザルツブルク(正式に言うと、当時はカメラータ・アカデミカ・デス・モーツァルテウムス・ザルツブルク。以下、CAMSと略記する)の実演には、1993年夏から1994年冬にかけてのケルン滞在中に一度だけ接したことがある。
 確か、今回取り上げるCDにも入っているモーツァルトのカッサシオンや、ハイドンの交響曲第102番がプログラムに組まれていたのではなかったか。
 高齢にも関わらず、ヴェーグ翁が若々しく闊達な音楽づくりを行っていたことを記憶している。
 と、言うのは、あくまでも「公式見解」で、期待が大きかった分、若手中心のオーケストラのアンサンブルの粗さに、なんだかがっくりしてしまったというのが僕のその時の正直な感想だ。
(今にして思えば、とても大切なものを聴き落していたということなのだけれど、だからと言って僕は、当時の自分自身のそうした受け止め方を否定し切るつもりはない)

 今回取り上げるCDは、シャーンドル・ヴェーグとCAMSが残した一連のモーツァルトの管弦楽曲の録音中の一枚で、あまり演奏される機会のない、カッサシオン第1番と第2番に加え、弦楽合奏によるアダージョとフーガハ短調が収められている。
 一昨日昨日とアップしたピリオド奏法を援用した演奏や、ピリオド楽器を用いた演奏と異なり、ヴェーグとCAMSの演奏は、いわゆるオーソドックスな流れを汲むものである。
 そのため、ピリオド・スタイルのモーツァルトに慣れ親しんだ聴き手からすると、若干刺激に欠ける演奏と聴こえる場合もあるかもしれない。
 と、言っても、それはあくまでもピリオド・スタイルと比較すればの話で、音楽の持つ芯の強さのようなものは、流麗で明快な演奏の中にも、はっきりと示されているように僕は思う。
 中でも、アダージョとフーガの後半、音楽が畳みかけてくるような部分には、ヴェーグとCAMSの特性がよく表れているのではないだろうか。
(これには、ヴェーグが名うての弦楽器奏者だったということも影響しているかもしれない)

 実演で感じたアンサンブルの弱さはこのCDにおいても聴き受けられないことはないが、税込み1000円程度までなら、ピリオド・スタイル好みの人以外には問題なくお薦めできるCDだ。
 なお、ヴェーグとCAMSのモーツァルト録音は、現在組み物として申し訳ないくらいの廉価で販売されているけれど、カプリッチョ・レーベル(の親会社のデルタ・ミュージック?)が潰れてしまったため、いつまで入手が可能かはさだかではない。
 興味がお有りの方は、HMVやタワーのホームページなどでお調べいただければと考える。
by figarok492na | 2008-12-28 12:13 | クラシック音楽
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