途中陽の光は見えつつも、どんよりとした感じの強い一日。
気温はそれほど上昇せず。 午前のうちに、キッチンまわりの拭き掃除をすませる。 アンソニー・ハルステッド指揮ザ・ハノーヴァー・バンドの演奏した、ヨハン・クリスティアン・バッハの交響曲集作品番号18を聴く。 ほぁうほぁうほぁうほぁう、とホルンが勇ましく鳴ったりして大きなつくりだが、その分音楽が浅く感じられたりしないでもない。 続けて、ブルーノ・ヴァイル指揮ターフェルムジークの演奏した、ハイドンの交響曲第50番、第64番、第65番を聴く。 この3曲は、ハイドンの交響曲の中ではいわゆる中期に属するもの。 それでも、一点一画もゆるがせにされていない、と評したくなるようなよく出来た作品で、作曲家としてのハイドンの力量の高さというものを再認識する。 ヨハン・クリスティアン・バッハの交響曲を聴いたあとでは、なおのこと。 しばらく間を置いて、ジョヴァンニ・アントニーニ指揮バーゼル室内管弦楽団の演奏した、ベートーヴェンの交響曲第1番&第2番を聴く。 ピリオド奏法を援用したアントニーニの音楽解釈も大きいのだろうが、ベートーヴェンの交響曲の持つ「革新性」「革命性」がよくわかる。 自分自身の創作活動を省みるという意味もあって、PCに打ち込んだ中途半端な作品のうち、『館佐武郎をさがして』と『こうもり』を削除する。 PCだから、削除したあとごみ箱を空にするだけだけれど、気持ち的には原稿用紙を八つ裂きにするとか、焚き火の中に放り込むといった感じだ。 いずれにしても、一からやり直すぐらいの覚悟でないと。 『青べか物語』を読了する。 以前記したことの繰り返しになるかもしれないが、山本周五郎の作家としての冷徹でドライな観察眼と、一人の人間としての暖かく熱い心情が微妙な色合いをもって表われ出された作品だと思う。 (巻末の解説における、平野謙の「いわばノン・フィクションとみせかけた精妙なフィクション」という言葉が、この『青べか物語』の本質をよく語っているのではないか) お昼過ぎに外出し、京都芸術センターで用件をすませ、ウィングス京都の図書情報室で借りていた本を返却し、新たに川端康成の『山の音』と北杜夫の『マンボウ交友録』<ともに新潮文庫>を借りる。 その後、京都文化博物館に寄ってから歩いて寺町通まで出、姉小路通を西に入ったところにあるANTIQUE belleのギャラリーに行って、旧知の秋山はるかさんのコ展「こくうのmorph/くうきを速記する。」を観る。 今ままでの陶器とは異なる創作物で、新鮮さを強く感じた。 それからAvisとジュージヤ三条本店をのぞき、買い物などをして帰宅した。 naïveのサイトで、リナルド・アレッサンドリーニ指揮ノルウェー国立歌劇場管弦楽団の演奏した、モーツァルトの序曲を聴きながら、今後の創作活動に関して考える。 あかんもんはあかんということで、『カルタ遊び』も削除してしまう。 ああ、すっきりした! 音楽評論家の黒田恭一が5月29日に亡くなった。71歳。 NHK・FMの『20世紀の名演奏』での黒田さんの不調に関しては、ここでもつい最近記したばかりだったのだけれど、まさかこんな急に亡くなってしまうとは思ってもみなかった。 (別の誰かも記していたが、吉田秀和より黒田恭一が先に亡くなるなんて…) 黒田さんは、純然たるクラシック音楽ばかりでなく、クロスオーバーと呼ばれるクラシック音楽と他ジャンルの垣根を越えたような演奏なり録音なりにも目配りのよく届いた評論活動を行っていた。 また、そのソフトな語り口が好まれてか、NHKのテレビやラジオにもしばしば登場し、特に上述した『20世紀の名演奏』の終わりでの、「どうかお気持ち爽やかに」という言葉は日曜日の朝にとても相応しかったと思う。 そうそう、クラシック音楽をミカンに喩えるような主著の一つ『はじめてのクラシック』<講談社現代新書>は、斎藤美奈子に「幼稚園的入門書」とたたかれたけれど(『読者は踊る』<文春文庫>、一方で、黒田恭一が自らの考えや想いを柔らかい口調の中に巧みにしのばせる見事な書き手の一人であったことも忘れてはなるまい。 (この点に関しては、鈴木淳史の『クラシック批評こてんぱん』<洋泉社新書y>の第3章『八〇年代という「知性」-黒田恭一』が詳しい) 深く、深く、深く、深く黙祷。 今日は、甘いものは食さず。 明日がいい日でありますように! それじゃあ、おやすみなさい。
by figarok492na
| 2009-06-04 23:27
| CLACLA日記
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