☆ASMFケルン公演
指揮:ネヴィル・マリナー 管弦楽:ASMF 会場:ケルン・フィルハーモニー 身体の調子が良くないとは知りつつ、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ(ASMF)*1を聴きにケルン・フィルハーモニーまで出かけた。 結果は、なかなかのブリティッシュ・ベートーヴェンを楽しむことができた*2。 指揮は当然、Sirネヴィル・マリナー。 曲目は、オール・ベートーヴェン。 まず、『プロメテウスの創造物』序曲。 マリナーのテンポのとり方、指揮ぶりは少々せわしなさを感じさせるが、オケは乱れない。弦はよく揃っているし、管楽器も悪くない。 オケの良さは、次のピアノ協奏曲第5番「皇帝」でも発揮された。 この前のギュルツェニヒのときは*3、それこそただせわしないだけだったが、今回はオケがきちんと揃っているので、速さを感じさせない。 フォルテシモで弦が揃うところなど、聴いていて「ホッ」とする。 ソロは、ゲルハルト・オピッツ。ところどころ気になるところもあったが、力強い演奏だった。 上手さ(技術的な)で言えば、先日のエマニュエル・アックスのほうが上のような気もするが、様式感から言えばオピッツのほうか? 休憩後は、「エロイカ」シンフォニー。ドイツに来てこれで三回目*4。 レコード等の記憶もあるので、ついつい比較してしまう。 第1楽章、アーノンクールやブリュッヘンの録音、それからフォンクやシフを聴いた耳には、少々「遅め」の感がする。 「あともう半テンポ速ければいいのに」という思いが無きにしも非ず。 第2楽章は、フォルテシモが印象的。弦が少しだけざらついて聴こえるが、全ての楽器が荒々しくない。ティンパニなど、一番のフォルテシモのときでも抑制がきいていてノーブル。 第3楽章は、ホルンが大変だが、最初ちょっと音を外したくらいで、あとはほぼ完璧な出来。オーボエやフルート等、管のアンサンブルも悪くない。 第4楽章は速いテンポだったが、最後まできちんとまとまっていた。各変奏、特に弦が活躍する部分は、室内楽的な緻密さが要求されるだろうが、技術的にはクリアしていたよう。ホルンがシンフォニックに鳴らされ過ぎたのが、少し気になった程度。 それほど(ほとんど)くずれない「エロイカ」を楽しんだ。 流石、イギリス・ブリティッシュのオケだけあって、弦も管も上手い人ぞろい*5。 私はこのような演奏も嫌いではない。 ただ、こうしたベートーヴェンの演奏は、いずれ「変化」を余儀なくされるのではないだろうか、とも思った。 (古楽器演奏の影響は、モダン楽器のオケでも今や避けられないだろう) このオーケストラでは、イギリスの作品、ブリテンのシンプル・シンフォニーやフランク・ブリッジの主題による変奏曲、ディーリアス*6などをぜひ聴いてみたい。 たぶんもっともっと楽しめるだろうから。 ベートーヴェンなら偶数番号のシンフォニーか? *1:日本では、アカデミー室内管弦楽団の名で親しまれているオーケストラ。もともとは室内管弦楽編成で、指揮者のネヴィル・マリナーによって結成された団体だが、その後、フル編成での活動を行うようにもなった。ASMFはその略称。 *2:お前は、志鳥栄八郎か! *3:1993年12月20日のケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の定期演奏会で僕は、エマニュエル・アックス独奏、ジェイムズ・コンロン指揮による「皇帝」の演奏を聴いていた。 *4:1993年10月15日のケルンWDR交響楽団の定期(ハンス・フォンク指揮)と、1994年1月1日のドイツ・カンマー・フィルのニューイヤーコンサート(ハインリヒ・シフ指揮)で、僕はベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」を聴いていた。 *5:やっぱりお前は、志鳥栄八郎か! *6:LP時代、僕はマリナー&ASMFの録音したディーリアスのアルバム<London>を愛聴していた。
by figarok492na
| 2009-08-23 14:12
| 欧州音楽日記
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