☆ケルンWDR交響楽団定期演奏会
指揮:マレク・ヤノフスキ 管弦楽:ケルンWDR交響楽団 会場:ケルン・フィルハーモニー 山本さん中島さん*1との話もあったので、ケルンWDR交響楽団の定期に出かける。 岸さん*2や、ヤマハの寺田さん*3ともあいさつ。みなさんお元気そう。 指揮は、マレク・ヤノフスキ。ケルンではギュルツェニヒ管弦楽団の指揮者としてすでにおなじみだし、日本でもN響への客演で知られている。 曲目は、ワーグナー。ベルク、ヴェーベルン、ドビュッシーというなかなか興味深いもの。 まずは、ワーグナーのジークフリート牧歌。 縦の線をきっちり揃えるよりも歌うことを重視するタイプ、とは瀬尾さん*4の言だが。 管にミスなどあったが、それほど悪くない。ただ、こんな演奏を朝から枕もとでやられたら、心和むより驚きおののいてしまうだろうけれど*5。 クラリネットの動きなど、さすがワーグナーだけあって楽劇を思い出した。 2曲目は、ベルクの管弦楽のための3つの小品。 ジークフリート牧歌の終わったあとにヤノフスキとコンマスの間でちょっとしたやり取りがあって(演奏前から気になったんだけれど…)、コンマスの態度に少し不満を覚えた。勘違いならよいのだけれど。 で、そのことが気になったが、演奏はなかなかの出来だった。 3曲目の行進曲の最後でなんだか揃っていないというか、詰めの甘さを感じたくらい。 こっちに来て新しい作品を聴く機会が多かったせいか、ベルクぐらいでは全然気にならなくなってしまった。 彼の作品が、マーラーやリヒャルト・シュトラウス、そしてシェーンベルクの影響下ぶあることがよくわかる部分がいくつかあった。 例えば、行進曲のフォルテシモ。 休憩後は、ヴェーベルンの6つの小品。 これぞ本当に小品の集まりといった作品だが、一曲一曲が工夫にあふれている。 コンマスだけでなく、ヴィオラやコントラバスのソロ、ハープの刻むリズム。 これもベルクと同じで、なかなか面白い作品である。 あと少しリズムの刻み方とか管のソロの部分とか弦の合奏とか、精妙さが加わればと思わずにはいられない。 最後は、ドビュッシーの『海』。 前回のベルティーニの演奏*6が、よく言えば簡潔にしまって合奏力に優れた(悪く言えば、ぎしぎしで息つく暇のない)ものだったとすれば、今回は、メロディーをたっぷりと鳴らした歌心のある(悪く言えば、少し締まりに欠ける)演奏。 それでも、2曲目のテンポが速くなるところなんかドキドキしたし、最後の部分など力のこもった演奏だった。 山本さんたちの肩を持つわけではないが、ヤノフスキという指揮者はそれなりの力を持った(たぶん職人的な)指揮者だろう。 これから年齢を重ねていってどんな演奏を行うのか? ただ、それに対してWDRのオケは、今一、二歩遅れをとっていたのでは。 上手いオケなんだけれど…。 *1:ケルン滞在中、本多優之さんの紹介で知り合った音楽家夫妻。一度、二人の部屋に遊びに行き、ワインの飲み過ぎで相当酔った記憶がある。 *2:岸浩さん。長く『音楽の友』誌のドイツの音楽時評を担当していた。また、ドイツを訪れた日本の音楽関係者のコーディネーターやアドヴァイザー的存在としてもよく知られている。ケルン・フィルハーモニーにたびたび出没する僕の存在が気になったのだろう、岸さんのほうから声をかけていただいた。 *3:寺田憲重さん。のちに京都コンサートホールのパイプオルガンの設計にも携わった。当時ケルン滞在中で、これまた寺田さんのほうから声をかけていただいた(まだ面識を得る前のことだが、スイス・ロマンド管弦楽団のケルン公演に登場したマルタ・アルゲリッチの演奏に大いに満足している寺田さんの嬉しそうな表情が未だに記憶に残っている)。 *4:瀬尾麗さん。欧州音楽日記3の注釈をご参照のほど。 *5:ジークフリート牧歌初演時の故事を踏まえた言葉。 *6:1993年11月6日のケルンWDR交響楽団の特別演奏会。確か、このときのライヴ録音がCDになっているのではないか。
by figarok492na
| 2009-08-24 12:23
| 欧州音楽日記
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