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死者の歌(CDレビュー)

 ☆ショスタコーヴィチ:交響曲第3番、第14番
  ラリッサ・ゴゴレウスカヤ(ソプラノ)
  セルゲイ・アレクサシュキン(バス)
  マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団他
  2005年録音
  <EMI>CDC 3568302

 先日購入したCDの中から、マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団他の演奏による、ショスタコーヴィチの交響曲第3番「メーデー(五月一日)」と第14番「死者の歌」のCDを聴く。
(なお、複数のオーケストラによって進められてきたマリス・ヤンソンスのショスタコーヴィチの交響曲全集だが、このCDがその完結篇となる)

 何と言っても、メインは交響曲第14番だろう。
 「死者の歌」という副題通り、死について語られた詩をもとにした歌曲をより集めて一曲の交響曲に仕立てているのだから、その結構に「やられた!」と思う。
 で、音楽自体も、様々な工夫と仕掛けがこらされながらも、作曲者自身の伝えようとするものがしっかり滲み出てきているというもので、まさしくショスタコーヴィチらしい一筋縄ではいかない内容になっている。
 一方、第3番のメーデーは、「死者の歌」の持つ韜晦性、晦渋性には不足するものの、そのつかみどころのなさには、これまたショスタコーヴィチらしさを強く感じる。
 マリス・ヤンソンスはそうした二つの交響曲の持つ性格を充分に認めた上で、基本的にはまとまりのよい、どちらかというとスタイリッシュでエネルギッシュな「わかりやすい」音楽を造りだしているのではないか。
 少なくとも、感情に流されてぐだぐだになった演奏とは対極にあり、作品を識るという意味では適確な一枚だろう。
(バイエルン放送交響楽団も、独唱者陣も、ヤンソンスの解釈によく添った演奏を行っている)

 それにしても、ショスタコーヴィチは本当にショスタコーヴィチだなあ。
 市川崑が市川崑であるように。
(「自動律の不快!」、と呼ぶ声あり。あっそうですか、そりゃいけませんね。私とポリデントしちゃいましょう=これ、船越英二の声で)
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by figarok492na | 2007-03-29 12:01 | クラシック音楽

喜劇序曲が聴きたくて(CDレビュー)

 ☆ブゾーニ:管弦楽作品集第2巻
  ネルソン・ゲルナー(ピアノ)
  ネーメ・ヤルヴィ指揮BBCフィル
  2004年録音
  <CHANDOS>CHAN10302

 先日購入したCDの中から、ネーメ・ヤルヴィ指揮BBCフィル他の演奏した、ブゾーニの管弦楽作品集のCDを聴く。
(第2巻と題されているように、すでに同じ演奏者たちによって第1巻目のCDがリリースされている)

 ブゾーニはピアニストとしてもよく知られたイタリアの作曲家だが、母方の祖父がドイツ人だったこともあってか、ドイツを中心に活躍し、実際ドイツ的な作風の作品を数多く残している。
 で、このCDには、喜劇序曲、ピアノと管弦楽のための『インディアン幻想曲』、インディアン日誌第1集から「幽霊の輪舞の歌」、歌劇『嫁えらび』組曲の4曲が収められているのだけれど、いずれも新古典主義の様式に則った巧緻で耳なじみのよい音楽だと思う。
 特に、個人的にお薦めなのが、冒頭に置かれた喜劇序曲だ。
 モーツァルトの『後宮からの逃走』の中のオスミンのアリアの主題にそっくりな主題が、面白おかしく展開してくのだが、それがまるで、古典派から初期ロマン派、ロマン派、後期ロマン派にいたる「序曲の変遷」を体現しているかのような感じにすらなっていて、聴いていてとても愉しい。
 正直、これ1曲のためにこのCDを買ったほどだ。
(もちろん、ブゾーニのヴィルトゥオーゾぶりが明瞭に示された『インディアン幻想曲』や、劇場感覚全開の『嫁えらび』組曲も聴いて損のない作品だと言えるけど)
 ネーメ・ヤルヴィ指揮BBCフィルは、ブゾーニの音楽の持つ多様な側面をドラマティックに描き出しており、加えて、機能的な面でも不満がない。
 機会があればご一聴をお薦めしたい一枚だ。
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by figarok492na | 2007-03-26 17:34 | クラシック音楽

柳の下に…(CDレビュー)

 ☆ウェーバー:歌芝居『アブ・ハッサン』、交響曲第1番
  イェルク・デルミュラー(テノール/アブ・ハッサン)
  ヨハンナ・ストイコヴィッチ(ソプラノ/ファティーメ)
  フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ(バス/オマール)
  ヴォルフガング・フォルツ(ナレーター/カリフ)
  ブルーノ・ヴァイル指揮カペラ・コロニエンシス他
  2002年録音
  <DHM>05472−77979−2

 先日購入したCDの中から、ウェーバーの歌芝居『アブ・ハッサン』と交響曲第1番の入ったCDを聴く。

 詳しい物語については、ブックレットや解説書をご参照いただくとして、『アブ・ハッサン』はその設定やら何やらから考えて、明らかにモーツァルトの『後宮からの逃走』を意識した作品といえる。
 てか、トラック15の二重唱(第6番)などを聴けば、これってまんま『後宮』やないか! と突っ込みたくなること請け合いだ。
(他に、『魔法の笛』の影響を感じるナンバーもいくつかあった)
 ただ、だからと言って、このぱくり野郎が! と腹を立てた訳ではない。
 なぜなら、劇場感覚にあふれた聴き心地のよい音楽の連続で、実に愉しい一時を過ごすことができるからである。
 もちろん、それには、タイトルロールを演じるデルミュラーをはじめとした三人の歌手の、伸びやかで清々しい歌唱が果たしている大きな役割を忘れてはなるまいが。
 また、ブルーノ・ヴァイル指揮カペラ・コロニエンシスもツボをきちんと押さえた演奏で、この作品の持つ性格(古典派と初期ロマン派の過渡期に位置するという)を適確に表していると思う。
 一方、交響曲のほうは、これまた劇場感覚に満ちてはいるものの、ノリントン盤ほど過剰にジンタ調を強調しない、抑制の効いた演奏で、個人的には好感が持てた。
 オペラ好きはもちろんのこと、古典派好き初期ロマン派好きの方全般にお薦めしたい一枚だ。

 なお、ブルーノ・ヴァイルとカペラ・コロニエンシスは、同じウェーバーの名作『魔弾の射手』も録音しているが、こちらも清潔感にあふれたクリアな演奏に仕上がっている。
 これまたお薦めである。
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by figarok492na | 2007-03-25 21:35 | クラシック音楽

疾風怒濤って言葉があったんだ(CDレビュー)

 ☆ベック:交響曲集作品番号3から他
  ミヒャエル・シュナイダー指揮ラ・スタジョーネ・フランクフルト
  2003年録音
  <CPO>777 014−2

 フランツ・イグナッツ・ベックの交響曲集作品番号3から、第6番、第2番、第1番の3曲と、『オルフェウスの死』序曲の入ったCDを聴く。

 ベックは、主としてフランスで活躍した18世紀後半の作曲家で、CPOレーベルからは、10年ほど前に同じ作品番号3のうち、第3番、第4番、第5番の3曲がリリースされている。
(演奏は、今回と同じミヒャエル・シュナイダーとラ・スタジョーネ・フランクフルトのコンビによる)
 基本的に、初期のハイドンやモーツァルトの交響曲と共通する快活闊達な作風だが、さらにそこに「からっ風野郎」風と評したくなるような激しさの芽のようなものが加わっていて、実に心が動かされる。
 ミヒャエル・シュナイダー指揮ラ・スタジョーネ・フランクフルトは、録音の加減もあってか、木目の粗い演奏に聴こえるが、その分、ベックの音楽の持つ性格を見事に表現しきっているとも思う。
 古典派好きには一聴をお薦めしたい一枚だ。
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by figarok492na | 2007-03-24 12:51 | クラシック音楽

アーノルドはアーノルドでも(CDレビュー)

 ☆サミュエル・アーノルド:管弦楽作品集
  ケヴィン・マロン指揮トロント・カメラータ(トロント室内管弦楽団)
  2004年録音
  <NAXOS>8.557484

 昨日購入した、サミュエル・アーノルドの管弦楽作品集のCDを聴く。

 ブックレットによると、サミュエル・アーノルドは1740年にロンドンに生まれ、1802年に亡くなった18世紀後半のイギリスの作曲家だそうで、このCDには、彼が作曲したオーケストラのための作品の中から、6つの序曲集(題名は序曲だが、実質的には3楽章形式のシンフォニア)作品番号8、『マクベス』のための音楽、歌劇『ポリー』序曲が収められている。
 6つの序曲は、とりたてて先鋭的刺激的な内容ではないけれど、一曲一曲が巧みに組み立てられている上に、劇場感覚にも富んだ、聴き心地のよい音楽だと思う。
 また、『マクベス』のための音楽は、黒澤明監督の『蜘蛛巣城』なんかとは似ても似つかぬ穏やかな表情をしているが、往時のイギリスの劇場をしのぶことのできる音楽ではある。
 ケヴィン・マロン指揮トロント・カメラータは、作品の性格を精確にとらえており、音楽を愉しむという意味でも問題がない。
 手頃なお値段ということもあり、バロックから古典派の音楽が好きな方には一聴をお薦めしたい一枚だ。

 ところで、ブックレットの表紙には演奏オーケストラがトロント室内管弦楽団と記され、裏面と日本語カバーにはトロント・カメラータと記されている。
 後者が前者に改名する過渡期ゆえの「混乱」だろうか?
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by figarok492na | 2007-03-19 17:27 | クラシック音楽

ボードリヤールも鈴木ヒロミツも亡くなる(CLACLA日記)

 どんよりとしたお天気。
 気分もどんよりとなりがちだ。

 寒さ厳しい一日。
 皆さん、くれぐれも風邪やインフルエンザにはお気をつけ下さい。

 今日は、アルバイトがお休み。
 それでも早めに起きて、部屋の掃除や浴室・トイレの掃除をちゃちゃっとやっつける。

 実家から荷物が届く。
 多謝。

 かたづけておきたい用事もあって、お昼過ぎに河原町へ出かける。
 で、用事をすませてから、タワーレコード、清水屋、アサヒレコード、ジュージヤ三条本店、BALのジュンク堂と回るも、めぼしいものは一切なし。
 無印良品でノートを購入して、帰宅する。

 『日本の歴史・22 天保改革』を読み進める。

 『私の青空』の12の下書きとワープロ打ち、打ち出しを行う。
 原稿用紙に換算して、33枚目分に達した。

 NHK・FMのベスト・オブ・クラシックで、ミハイル・ユロフスキ指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートのライヴ録音を聴く。
 大好きなショスタコーヴィチの交響曲第6番などが放送されていた。

 フランスの哲学者、ジャン・ボードリヤールが亡くなる。77歳。
 『消費社会の神話と構造』他、著作多数。
 深く、黙祷。

 歌手で俳優の鈴木ヒロミツも亡くなる。60歳。
 モッブスの頃は記憶にないが、『夜明けの刑事』の刑事の一人だったことは、しっかり覚えている。
 最近では、薄気味悪い悪役も巧みにこなしていた。
 深く深く、黙祷。

 今日は、実家から送られたマカデミアナッツチョコレートを食す。
 なかなか美味しうございました。
 ごちそうさま!

 明日がいい日でありますように!
 それじゃあ、おやすみなさい。
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by figarok492na | 2007-03-15 21:13 | CLACLA日記

歴史学者の歴史性

 なんて書くと大仰だし、だいたい歴史学を専門に研究している人間にとっちゃああったり前の話なんだけど、津田秀夫の『日本の歴史・22 天保改革』<小学館>を読んでいて、そんなことを思い出してしまった。

 この『天保改革』の巻では、徳川家斉治世のいわゆる大御所時代の奢侈濫費のつけがどどっとたまってえらいことになった、さあ改革せねば改革せねばと幕府の側があっぷあっぷしている時代が取り上げられているのだが、よくよく考えてみたら、この本が刊行された1975年って、田中角栄が金権問題で失脚し、さらにロッキード事件で世の中てんやわんやになってた頃なんだよね。
 まさしく、時代状況が重なっているし、実際、筆者も強い問題意識を持って筆を進めているように思う。
 結局、歴史学を司る人間も、自分自身が生きる「現在」に縛られざるをえないってことで、研究書を読む際は、個々の歴史学者がどのような時代を生きたかにも留意しておかなきゃいけないんじゃないだろうか。
(もちろん、現在=2007年の歴史学と歴史学者の関係についてもおんなじことだけど)

 そういえば、同時期に放映されていた『暗闇仕留人』なんかも、ちょうど天保改革の前後に時代が設定されていたんじゃなかったっけ。
 これも、時代認識の強い表れだったんだろうな。

 それにしても、大御所時代や天保の改革の頃と現在の状況がどうにもそっくりのように感じられるのは、僕の勝手な思い込みなのだろうか?
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by figarok492na | 2007-03-15 12:53 | 雑感

第10番もお薦めです(CDレビュー)

 ☆ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番〜第11番
  アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
  1994年録音
  <PHILIPS>442 774−2

 先日購入した、アルフレッド・ブレンデルの演奏するベートーヴェンのピアノ・ソナタ集のCDを聴いた。

 このCDには、第8番、第9番、第10番、第11番の4曲が収録されているが、何と言っても有名なのは、第8番の「悲愴」ソナタである。
 で、ピアニストによってはことさら「悲愴性」を強調したり、逆に、第2楽章をサッカリンのような甘さで弾き崩したりしがちな作品だが、その点、ブレンデルの演奏に心配はない。
 テキストを丹念に読み込み細部まで磨き抜いた鋭敏な演奏でありながら、あくまでも「過剰」さを避けた、聴き応えのある演奏に仕上がっているからだ。
 ただ、個人的には、ベートーヴェンの音楽の持つリリカルさ、歌謡性、一方で高度な技巧性がバランスよく表された、第10番の第1楽章が非常に好きだ。
 これは、何度繰り返して聴いても飽きはしない。
 いずれにしても、フルプライスでも安心してお薦めできる一枚である。
 大推薦。
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by figarok492na | 2007-03-11 12:36 | クラシック音楽

落ち着く一枚(CDレビュー)

 ☆ブラームス:弦楽5重奏曲第1番、第2番
  ベルリン・フィルハーモニー8重奏団員
  1970年録音
  <PHILIPS>426 094−2

 昨日購入した、ベルリン・フィルハーモニー8重奏団員の演奏による、ブラームスの弦楽5重奏曲のCDを聴く。

 以前触れたこともあるが、このCDは、今から15年近くも前の院生時代に、友人のFから貸してもらって、何度も何度も聴き込んだ一枚だ。
(特に、第1番の第1楽章が大好きで、それこそLPならば盤面が擦り切れてしまうほど聴き返したんじゃなかったっけ。その点、CDはありがたい)

 で、今回久しぶりに聴き直してみた感想だけれど、正直言って、現在の研ぎ澄まされた演奏に比べると、残念ながら細部が甘い。
 それに、古めかしいとまでは言わないけれど、若干古さを感じる演奏スタイルである。
 加えて、録音の加減もあってか、いくぶん音の豊かさにも欠けている。
 ただ一方で、聴いていて、胸にすとんと落ちるというか、とても「落ち着く」演奏であることも事実だ。

 標準的な名演と評することはためらうものの、中古で税込み1000円以内ならお薦めしたい一枚。
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by figarok492na | 2007-03-08 21:11 | クラシック音楽

ピフルの交響曲(CDレビュー)

 ☆ピフル:交響曲集
  ケヴィン・マロン指揮トロント室内管弦楽団
  <NAXOS>8.557761

 ナクソス・レーベルの3月の新譜、ケヴィン・マロン指揮トロント室内管弦楽団の演奏による、ピフルの交響曲(シンフォニア)集を聴いた。

 ピフルは、18世紀後半に活躍したボヘミアの作曲家で、ブックレットの解説によると、モーツァルトの『魔法の笛』をチェコ語に翻訳したりもしているそうだ。
 このCDには、そうした彼の交響曲が4曲(「カリオペ」、「メルポメネ」、「クレイオ」、「ディアナ」と、ギリシャ神話の女神の名前が副題に付いている)収められているが、いずれも古典派の4楽章形式に則った、実に明朗で聴き心地のよい音楽である。
 また、ケヴィン・マロンとトロント室内管弦楽団は、ピリオド奏法を巧みに援用しつつ、個々の作品の持つ特性(楽器の使用における作曲家の工夫など)を適確に表現していると思う。
 演奏、作品ともに、安心してお薦めできる優れた一枚。
 特に、ハイドンやモーツァルトといった古典派の音楽がお好きな方には大推薦だ。
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by figarok492na | 2007-03-05 13:35 | クラシック音楽