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アカルイワーグナー(CDレビュー)

 ☆ワーグナー:管弦楽曲集
  ダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団
  1992年、93年、94年録音
  <TELDEC>4509−99595−2

 先日購入した、ダニエル・バレンボイム指揮シカゴ交響楽団の演奏による、ワーグナーの管弦楽曲集のCDを聴く。
 なお、このCDには、『さまよえるオランダ人』の序曲、『タンホイザー』の序曲、『ローエングリン』の第1幕と第3幕の前奏曲、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の第1幕の前奏曲、『トリスタンとイゾルデ』の第1幕の前奏曲と愛の死が収められている。
(ちなみに、バレンボイムとシカゴ交響楽団は、このCDと前後して、『ニーベルングの指環(リング)』のハイライト集と、『リエンツィ』序曲やジークフリート牧歌を収めた管弦楽曲集の第2集を録音している)

 全曲聴き通して、まずは明るいワーグナーだなあ、と感じる。
 もちろん、『トリスタンとイゾルデ』は「ああいう」官能的な音楽だし、『ローエングリン』の第1幕の前奏曲だって、静謐さが先にくるような性格の音楽なのだが、バレンボイムとシカゴ交響楽団にかかると、それが、それほど深淵をのぞいたりしんねりむっつりしたりする必要がないように聴こえるのだ。
 まあ、そこには、パワフルでエネルギッシュなシカゴ交響楽団の性質も、多分に影響しているのだろうけれど。
 その点で、『ローエングリン』の第3幕の前奏曲や『マイスタージンガー』の前奏曲が、もっともしっくりくるような仕上がりになっていると思う。

 いずれにしても、ワーグナーに過度な「何か」を期待しないむきには、安心してお薦めできるのではないか。
 僕は、中古で税込み480円で購入したが、税込み1200円程度までなら、「買い」の一枚だろう。


 余談だけれど、シカゴ交響楽団がどうしてああまで「鳴らす」オーケストラなのかと言えば、彼彼女らの本拠地(シカゴのオーケストラ・ホール)があまりにもデッドな音響なので、好むと好まざるとに関わらず、ばりばりばあばあエネルギッシュにならざるをえないためなのだそうである。
 まさしく、ホールがオーケストラをつくる好例だが、ザ・シンフォニー・ホールの公演でも、ゲオルク・ショルティとシカゴ交響楽団は、同じ調子でブルックナーの交響曲第8番を演奏してしまった。
 結果は推して知るべしだ。
 これをアメリカ的と呼ぶと、単純に過ぎるだろうか。
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by figarok492na | 2007-06-09 13:39 | クラシック音楽

プライの冬の旅(CDレビュー)

 ☆シューベルト:冬の旅
  ヘルマン・プライ(バリトン)
  ヴォルフガング・サヴァリッシュ(ピアノ)
  1971年録音
  <PHILIPS>422 242−2

 昨日購入した、ヘルマン・プライの歌うシューベルトの『冬の旅』を聴く。

 何を好き好んで、この暑いさかりに『冬の旅』か。
 などと厳しく問うことなかれ。
 そりゃ、名曲堂阪急東通店で税込み380円で売っていたんだもの、多少の傷など構うものか、ましてや季節の違いなどなんのその、と思わず買ってしまったのも無理のない話だろう。

 で、このCD、情に棹さした『冬の旅』とでも評することができるのではないか。
(もちろん、ロマン派丸出しの歌いくずし弾きくずしがある訳ではないけれど)
 フィッシャー=ディースカウらに比べると、テキストの鋭い読み込みには劣るものの、実に歌の流れ、音楽の流れが自然で、プライの少し鼻にかかった美声とあいまって、暖かみと良い意味でのウェットさを強く感じる『冬の旅』が生み出されている。
 また、サヴァリッシュの伴奏も丹念で、プライの音楽性によく添っていると思う。

 やっぱり380円ではもったいない。
 税込み1200円程度までなら、躊躇なくお薦めできる一枚だ。
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by figarok492na | 2007-06-07 12:30 | クラシック音楽

東京カルテットを聴く−3(CDレビュー)

 ☆バルトーク:弦楽4重奏曲第5番、第6番
  東京カルテット
  1994年、95年録音
  <RCA>09026 68286 2から

 三日続けて、東京カルテットの演奏によるバルトークの弦楽4重奏曲のCDを聴く。
 今回は、3枚組中の3枚目で、第5番と第6番が収められている。

 おおバルトークよ、お前もここまできたか!
 などと口にするのは、それこそ傲慢無礼もいいところ、沙汰の限りなのだけれど、ついついそんな風に記してしまいたくなるほど、両曲とも研ぎ澄まされた音楽に仕上がっているのである。
(特に、第5番の第5楽章には、鬼気迫るものさえ感じるほどだ)

 東京カルテットは、そうした二つの作品を、ある意味やすやすと、精確精緻に描き切っている。
 過度な表情づけが行われていない分、作品を識るという意味では文句のない演奏であり録音だろう。
 三枚そろって大いにお薦めしたい。
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by figarok492na | 2007-06-03 22:22 | クラシック音楽

東京カルテットを聴く−2(CDレビュー)

 ☆バルトーク:弦楽4重奏曲第2番、第3番、第4番
  東京カルテット
  1993年録音
  <RCA>09026 68286 2から

 昨日に続いて、東京カルテットの演奏によるバルトークの弦楽4重奏曲のCDを聴く。

 今日聴いたのは3枚組のうちの2枚目で、第2番、第3番、第4番の3曲が収められているのだが、第1番と同様、後期ロマン派の影響をひきずっている第2番に始まり、まるでベートーヴェンの弦楽4重奏曲第11番「セリオーソ」のようにぎゅぎゅっと音楽のエッセンスが凝縮された第3番、音の跳躍が爽快ですらある第4番と、バルトークの作曲スタイルの変化が手にとるようにわかるカップリングで、実に愉しい。
(「みゅわみゅわ」、「ぎやぎや」といった、いわゆる現代音楽特有の苦い音もあちこちにあるけれど、基本的には耳を塞ぐほどのものではないのではないか)

 東京カルテットは、ここでもシャープでクリアな演奏で、バルトークの弦楽4重奏曲の妙味を丹念に描き出している。
 民俗(民族)性には欠けるものの、音楽を愉しむという意味では、全く問題のない優れた演奏であり録音だ。
 大いにお薦めしたい。
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by figarok492na | 2007-06-02 13:25 | クラシック音楽

東京カルテットを聴く−1(CDレビュー)

 ☆ヤナーチェク:弦楽4重奏曲第1番、第2番、バルトーク:同第1番
  東京カルテット
  1993年、1994年録音
  <RCA>09026 68286 2から

 昨日購入した、東京カルテットの演奏によるヤナーチェクとバルトークの弦楽4重奏曲全集の中から、1枚目のCDを聴く。

 ヤナーチェクの二つの弦楽4重奏曲は、第1番に「クロイツェル・ソナタ」、第2番に「ないしょの手紙」という意味深長な副題がつけられているように、作曲者自身の内面が吐露された作品で、時に過剰なほどのエネルギーの表出をかんじさせる音楽である。
 東京カルテットは、そうした作品の本質を精確にとらえつつも、一方でヤナーチェクの音楽の持つ先駆性にも強く配慮した、バランスのよくとれ、シャープな演奏を行っている。
 また、バルトークの第1番は後期ロマン派の影響が色濃い作品であるが、ここでも東京カルテットは、続く5つの弦楽4重奏曲との関係性をしっかり踏まえた演奏を行っていて、間然とするところがない。

 いずれをとっても安心してお薦めできる録音だ。
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by figarok492na | 2007-06-01 16:36 | クラシック音楽