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おっさん、ほんまやってくれまんなあ!(CDレビュー)

 ☆ラヴェル:管弦楽曲集
  ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィル
  1996年録音
  <RCA>09026 68600 2

 ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルの演奏による、ラヴェルの管弦楽曲集を聴く。

 まずもって、ジャケット写真からして怪しい。
 かつて田崎真珠のテレビ・コマーシャルで一世を風靡した(?)マゼールが、右手を顎に何やら「考える人」みたくポーズを決めているのだけれど、これがまあ『スター・ウォーズ』の悪党か何かのように見えて仕方がないのだ。
(首から下が透けてしまっているのも、その感を強くさせる)

 で、実際CDを聴いてみて、そうした「インスピレーション」が全く思い込みでなかったことを知らされる。
 と、言うのも、一曲一曲が、まさしく「確信犯」と呼ぶ他ない、あくの強い仕上がりになっているからである。
 『ダフニスとクロエ』の組曲は、ギリシャの青春牧歌なんてどこ吹く風の、力技全開の展開だし(個人的には聴きやすかったが)、『ラ・ヴァルス』のテンポのとり方やアクセントのつけ方もどうにも意味深だし、ラストのボレロなんてああた…。
 おっさん、ほんまやってくれまんなあ!
(他に、『スペイン狂詩曲』も収められている)

 あくまでも、クラシック音楽に慣れ親しんだ人にのみお薦めしたい一枚だ。
(現在は、バジェット・プライスで再発されているが、やっぱりこれは初出時の「マゼール、よからぬことを企む」的ジャケットのCDじゃないと。面白さが半減しまっせ)
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by figarok492na | 2007-07-19 12:06 | クラシック音楽

私の耳はロバの耳?(CDレビュー)

 ☆シューマン:リーダークライス作品番号39他
  クリストフ・プレガルディエン(テノール)
  ミヒャエル・ギース(ピアノ)
  2005年録音
  <hanssler>CD98.235

 ええい二連発!
 今度は、テノールのクリストフ・プレガルディエンがシューマンのリーダークライス作品番号39とヴォルフの歌曲(いずれもヨゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩によるもの)を歌ったCDを聴く。

 プレガルディエンのテキストの読み込みはいつもながらに細やかで鋭い。
 だから、その意味では基本的に不満はない。
 と言うより、よく歌い込まれているなあ、と心から感嘆する。

 ううん、でもねえ。
 もともとプレガルディエンが美声、クリアな声「でも」売ってきた人だけに、高声部をはじめ、声質の「変化」がどうしても気になってしまうのだ。
 ところどころ、ペーター・シュライヤーみたく聴こえる部分さえあって*。
(これってバーバラ・ボニーもそうなんだよなあ)
 上述の如く、彼の歌唱そのものに不満はないんだけど。
 まあ、声ではなくて、歌そのものの「魅力」に心動かされるようになるには、僕がも少し年齢を重ねなくっちゃならないんだろうな。

 プレガルディエンといえば、アンドレアス・シュタイアーのフォルテピアノ伴奏が有名だけれど、ここでの伴奏は、モダン楽器のミヒャエル・ギース。
(すでに、EMIやRCAでの録音で伴奏をつとめている)
 プレガルディエンの歌によく添った、丁寧な伴奏だと思う。

 僕のように声どうこうに惑わされることのない、「本当の歌好き」にお薦めしたい。

 *シュライヤーの「あくの強い」声自体、僕は嫌いじゃない。
 ただ、クリストフ・プレガルディエンの魅力が、シュライヤーとは真逆の「透明感」のある声と歌い口にあっただけに、ちょとおやと感じたのである。
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by figarok492na | 2007-07-18 12:21 | クラシック音楽

葦笛の輝き(CDレビュー)

 ☆モーツァルト:オーボエ協奏曲他
  アルブレヒト・マイヤー(オーボエ)
  クラウディオ・アバド指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ
  2004年録音
  <DG>476 235−2

 ベルリン・フィルの首席奏者アルブレヒト・マイヤーが、クラウディオ・アバド指揮マーラー・チェンバー・オーケストラと演奏したモーツァルトのオーボエ協奏曲他を収めたCDを聴く。
(なお、アルバムの原題は、「モーツァルトを探して」とか「モーツァルトを追って」と訳すことができるんじゃないだろうか。探究や追跡でもいいけど、それじゃああんまりにも硬すぎるので)

 もともとオーボエの音色が大好きということもあるのだろうけれど、これは聴いていて本当に愉しいCDだと思う。
 モーツァルトのオーボエ協奏曲の他、アンダンテ(フルートのためのものを編曲)、コンサート・アリアの編曲物が2曲、偽作のヴァイオリン協奏曲第7番の第2楽章、第3楽章、そしてルブランのオーボエ協奏曲第1番と、いずれをとっても耳なじみのいい曲だし、かてて加えて、マイヤーのオーボエが素晴らしい。
 作品の持つ軽快さや美しさが、即興性豊かに再現されているからだ。
 って、単純に明るいだけじゃないのもいい。
(個人的には、『フィガロの結婚』のスザンナのための代替用アリア「あなたを愛している人の望みどおり」*がカップリングされていたのが嬉しかった)

 クラウディオ・アバドとマーラー・チェンバー・オーケストラも、基本的にはマイヤーをよく支えているのではないか。
 特に、ルブランの協奏曲など。

 オーボエ好き、モーツァルト好き以外の方にも広くお薦めしたい一枚。
 ぜひともご一聴のほどを。

 *コジェナーとラトルによるアリア集<アルヒーフ・レーベル>に本来のアリアが収録されている。
 これも見事な演奏だ。
 てか、これって今井美樹と布袋の『プライド』とおんなじじゃん…。
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by figarok492na | 2007-07-18 12:03 | クラシック音楽

お薦めのヘンデル(CDレビュー)

 ☆ヘンデル:宗教曲集
  アニク・マシス(ソプラノ)
  マグダレーナ・コジェナー(メゾ・ソプラノ)
  マルク・ミンコフスキ指揮ル・ミュジシャン・ドゥ・ルーヴル他
  1998年録音
  <ARCHIV>459 627−2

 マルク・ミンコフスキ指揮ル・ミュジシャン・ドゥ・ルーヴル他の演奏による、ヘンデルの宗教曲集を聴く。
(このCDは、今はなき『グラモフォン・ジャパン』のレビューを読んで以来、ずっと欲しいと思っていたもので、先日ようやくジュージヤ三条本店のセールで手に入れることができた)

 『主の僕たちよ、主をほめたたえよ(ラウダーテ…)』やサルヴェ・レジナ、『主は言われた(ディキシット・ドミヌス)』と、ヘンデルにとっては初期の作品ばかりが並んでいるため、一見地味なカップリングと思われかねないのだが、旋律の華やかさや劇性、声楽・器楽両面における技巧の充実など、いずれの曲においてもヘンデルの音楽の持つ魅力が十二分に示されていて、実に聴き応えのあるCDに仕上がっていると思う。
 ミンコフスキとル・ミュジシャン・ドゥ・ルーヴルのアンサンブルは快活で隙がないし、何と言っても、マシスとコジェナーの透明感があってクリアな歌唱が素晴らしい。

 これはフルプライスでもお薦めしたい一枚だ。
 大推薦。
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by figarok492na | 2007-07-17 11:59 | クラシック音楽

ショパンはフィールドよりいでて(CDレビュー)

 ☆フィールド:夜想曲集
  バルト・ファン・オールト(フォルテピアノ)
  1995年録音
  <COLUMNS>0189

 先日購入した、バルト・ファン・オールトのフォルテピアノ演奏による、ジョン・フィールドの夜想曲集のCDを聴く。

 タイトル通り、フィールドの夜想曲こそがショパンに多大なる影響を与えて、でも結局ショパンのほうが有名になっちゃった、やっぱりフィールドは…。
 って具合に筆を進めようと思ってたんだけど、フィールド、なかなか以上にいいんじゃない?
 確かに、ショパンの夜想曲のような「これだよこれ!」ってところには欠けるものの、その「僕は野に咲くかすみ草」てな静かさ穏やかさが、本当に心に滲みてくる。

 加えて、オールトのフォルテピアノもいい。
 たぶん、普通のピアノ(モダン楽器)だったら、「わたしウェットにやってます」的な臭さが鼻につき耳につくところを、ごくごく自然に聴かせてしまうのだ。

 僕は中古で税込み347円で手に入れたが、新品でも500円前後で購入できるCDなので、なべて音楽好きの方にはご一聴をお薦めしたい。
 特に、眠れない夜には最適だと思う。
(ゆめゆめ、ブックオフなどの中古品で「ぼったくられない」ようにご注意のほどを)


 今回とりあげたフィールドの夜想曲の他、グリンカをはじめとしたロシアの作曲家の作品をオルガ・トヴェルスカヤがフォルテピアノで演奏した、『サンクト・ペテルスブルグの宮廷の音楽』というタイトルのCD(<OPUS111>OPS30−178)もある。
 こちらも、眠れない夜には最適な一枚だ。
(ただ、こちらはカタログから消えているので、現在では入手困難かもしれない)
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by figarok492na | 2007-07-10 12:46 | クラシック音楽

日本洋楽の夜明け(CDレビュー)

 ☆山田耕筰:交響曲「かちどきと平和」他
  湯浅卓雄指揮アルスター管弦楽団、ニュージーランド交響楽団
  2000年〜2002年録音
  <NAXOS>8.555350J

 先日購入した、湯浅卓雄指揮アルスター管弦楽団、及びニュージーランド交響楽団の演奏による、山田耕筰の管弦楽作品集のCDを聴く。

 おなじみナクソス・レーベルの日本作曲家選輯中の一枚で、山田耕筰が1912年と1913年に作曲した、序曲ニ長調、交響曲「かちどきと平和」、交響詩『暗い扉』と『曼陀羅の華』の4曲が収められているが、初期ロマン派に始まって、一息に後期ロマン派にいたるという作風の変化は、まさしく「日本洋楽の夜明け」とでも評したくなるようなドラスティックなものである。
 まあ、だからこそ、この国の「近代化」そのものの問題についても考えざるをえなかったのだけれど。

 湯浅卓雄とアルスター管弦楽団、ニュージーランド交響楽団(序曲のみ)は、基本的に不満のない出来。
 少なくとも、4つの作品を識るという意味では、過不足のない演奏だと思う。
 また、いつものことながら片山杜秀による解説も、優れたものだ。

 ナクソス・レーベルということで価格的にも手頃だし、機会があればご一聴をお薦めしたい。
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by figarok492na | 2007-07-09 12:45 | クラシック音楽

うそなき鳥クロニクル 第1部・泥棒かささぎ編(CDレビュー)

 ☆ロッシーニ:序曲集
  クラウディオ・アバド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団
  1989年録音
  <DG>431 653−2


 台所でスパゲティーをゆでているときに、電話がかかってきた。僕はCDにあわせてロッシーニの『泥棒かささぎ』の序曲を菜箸で指揮していた。スパゲティーをゆでるにはまずうってつけの音楽だった。
 電話の呼び出し音が聞こえたとき、すぐに無視しようと思った。スパゲティーはゆであがる寸前だったし、クラウディオ・アバドは今まさにヨーロッパ室内管弦楽団をその音楽的頂点に持ちあげようとしていたのだ。僕はガスの火を弱めず、台所で菜箸を振り続けた。
「はあっ」、留守番電話の電子音の後、しばらく間を置いてから、かすかな女の声がした。そして電話は切れた。
 僕は人の声色の記憶にはあまり自信を持っていない。それは知っているかもしれないし知らないかもしれない声だった。
(村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第1部・泥棒かささぎ編』<新潮文庫>冒頭より引用)

 やれやれ。
 パロディーやパスティーシュのふりをして、自分に起こった「何か」を語るなんて、●●らしいし卑しいしうっとうしいだけだ。

 クラウディオ・アバド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団によるロッシーニの序曲集は、まずもって、『セビリャの理髪師』、『セミラーミデ』、『アルジェのイタリア女』、『ウィリアム・テル』、『ラ・チェネレントラ(シンデレラ)』、『絹のきざはし(はしご)』、『泥棒かささぎ』という選曲が抜群だし、小回りがきいて、きびきびしゃきしゃきくれしぇんどくれしぇんどしている演奏も素晴らしい。
 さらには、ロッシーニの音楽の持つ「狂気」すらも見事に表現されていると思う。
 例えば、タカタタッタッタッタと、『泥棒かささぎ』序曲の音楽的ピークに達するあたりなど。
 オーケストラはロンドン交響楽団と違えども、何ゆえ村上春樹がアバドの『泥棒かささぎ』序曲にこだわったかがよくわかる。
(って、これは嘘。村上さんはあんまりそういうことは考えてないんじゃないかな。筒井康隆や小林信彦とは違って)

 いずれにしても、ロッシーニの音楽の愉しさと怖さを十二分に識ることのできる一枚だ。
 大推薦。


 ところで、『泥棒かささぎ』の慣用訳名(変な日本語)が『盗っ人かささぎ』とか『とっちゃうかささぎ』とかだったら、『ねじまき鳥クロニクル』という作品は生まれていたのだろうか?
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by figarok492na | 2007-07-08 12:55 | クラシック音楽

自分へのバースデープレゼント(CDレビュー)

 ☆ハイドン:ピアノ・ソナタ集
  ファジル・サイ(ピアノ)
  2006年録音
  <naive>V5070

 今年の自分へのバースデープレゼントとして購入した、ファジル・サイの弾くハイドンのピアノ・ソナタ集を聴く。
(なお、誕生日=6月20日、間際にエイベックスから国内盤が発売されたが、僕が買ったのは輸入盤のほうである)

 ティアラ展を観たばかりということもあって、まさしく小粒の、それでいてとびきり上等のダイアモンドがちりばめられたティアラ、とでも評したくなるようなCDだ。
 ハイドンのピアノ・ソナタといえば、一般的には、どうしても初心者用の「教材」程度にしか考えられていないが、こうやってサイの才気あふれる演奏に接すると、一曲一曲が丁寧に仕上げられた、いきいきとした作品であることに気づかされる。
 個人的には、第35番(の第1楽章)が大好きなのだけれど、他の、第37番、第43番、第31番、第10番の各曲も見事の一語だと思う。

 いずれにしても、長々と駄弁を労する必要のない一枚。
 多くの音楽好きの方にお薦めしたい。

 それにしても、易しく見えるものほど、難しいものなんだよね…。
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by figarok492na | 2007-07-07 12:47 | クラシック音楽