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コジェナーのオペラ・アリア集(CDレビュー)

 ☆モーツァルト、グルック、ミスリヴェチェク:オペラ・アリア集
  マグダレーナ・コジェナー(メゾ・ソプラノ)
  ミシェル・スヴィエルチェフスキ指揮プラハ・フィル
  2001年録音
  <DG>469 483−2

 ジュージヤ三条本店のセールで買ったCDの3枚目、マグダレーナ・コジェナーの歌う、モーツァルト、グルック、ミスリヴェチェクのオペラ・アリア集を聴く。

 コジェナーといえば、この前ヘンデルのアリア集を買ったばかりだし、少し前にはラトルと入れたモーツァルトのアリア集も買っているのだが、こちらは今から5年ほど前に発売されたCDである。
 最近の歌唱に比べると、いくぶんストレートな表現のように感じられる部分もなくはないが、その分、コジェナーの透明感があって伸びのある声の魅力や、技術的な確かさを再認識することができる録音だと思う。
 また、モーツァルトに限らず、グルック、ミスリヴェチェクのアリアも、時にアクロバティックな表現の盛り込まれた聴き応えのある音楽で、特にミスリヴェチェクのアリアの感情表現の激しさには、よい意味での驚きを味わえた。
 ミシェル・スヴィエルチェフスキ(あいた、舌噛んじゃった)*の指揮するプラハ・フィルも、コジェナーの歌にぴったりのスマートでクリアな演奏で、耳に心地よい。

 オペラ好き、歌好き、古典派好きの方を中心に、広くお薦めしたい一枚だ。
(なお、ラトルとのアリア集では、やたらと装飾のついた『恋とはどんなものかしら』だけれど、このアルバムではノーマルな版が録音されている)


 *かつてNHK・FMの『気ままにクラシック』の中で、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ・コーナーというのがあったが、このミシェル・スヴィエルチェフスキも相当ややこい名前の指揮者だと思う。
 ついでに、両次大戦間にポーランドの大統領だった、スタニスワフ・ヴォイチェホフスキという人物のことまで思い出してしまったほどだ。
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by figarok492na | 2007-09-23 14:17 | クラシック音楽

こよなく美しき歌(CDレビュー)

 ☆こよなく美しき島(イギリス・リュート歌曲&アリア集)
  バーバラ・ボニー(ソプラノ)他
  <DECCA>466 132−2

 続けて、バーバラ・ボニーがイギリス・バロック期のリュート歌曲とアリアを歌った『こよなく美しき島』を聴く。
(なお、このアルバムのタイトル『こよなく美しき島』は、パーセルの同名のアリアからとられている)

 最近ではどうしても声の衰えを感じずにはいられないバーバラ・ボニーだが、このCDでは、彼女の澄んで清潔感あふれる美しい歌声を十二分に堪能することができる。
 ダウランド、カンピオン、バード、ジェンキンス、パーセルといったイギリス・バロック期の素朴で繊細で静けさをたたえた歌の数々が、ボニーの囁きかけるような優しい歌唱で再現されており、全篇聴き飽きることがない。
 特に、モーリーの『好いた同士の彼氏と彼女』(なんだ、このやぼたい訳は…)の、「ヘイ、ディンガディンガディン」の繰り返しの部分には、これを聴くためだけにこのCDを購入しても全く惜しくないと、あえて断言したい。

 リュートのジェイコブ・ヘリングマン、ヴィオール・アンサンブルのファンタズム、クリストファー・ホグウッド率いるアカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックの伴奏も各々万全で、全く不満がない。

 音楽好きの方全般にお薦めしたい一枚。
 大推薦だ。
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by figarok492na | 2007-09-22 14:51 | クラシック音楽

オッターの歌を愉しむ(CDレビュー)

 ☆マイアベーア、ベートーヴェン、シュポア:歌曲集
  アンネ・ソフィ・フォン・オッター(メゾ・ソプラノ)
  メルヴィン・タン(フォルテピアノ)他
  1999年録音
  <ARCHIV>469 074−2

 ジュージヤ三条本店のセールで購入した、アンネ・ソフィ・フォン・オッターの歌う、マイアベーア、ベートーヴェン、シュポアの歌曲のCDを聴く。

 オッターの歌声は往時に比べるといくぶん衰えが聴こえてきたことは確かで、時にペギー葉山っぽい声だなあと感じた箇所もなくはないのだが、例えば、シューベルトの『漁師の娘』のパロディ、マイアベーアの『おいで』を聴けばわかるように、音楽を愉しむという意味では、まだまだ充分張りと伸びがあるし、各々の作品の持つ性質、インティメートな雰囲気をよく表現しているとも思う。
 交響曲第9番第4楽章の有名な旋律のひな形となった合唱幻想曲のさらなるひな形である、ベートーヴェンの『愛されない者のため息−愛のこたえ』(の「愛のこたえ」のほう)や、モーツァルトの『フィガロの結婚』の伯爵夫人のアリアを思い起こさせる、同じくベートーヴェンの『愛の嘆き』など、選曲面でも実に面白く、今ではモダン楽器に「転向」してしまったメルヴィン・タンのフォルテピアノ伴奏も細やかで、見事と言う他ない。
 加えて、マイアベーアの『羊飼いの歌』でのエリック・ヘープリヒのクラリネットや、シュポアの6つの歌曲でのニルス=エーリク・スパルフのヴァイオリンもオッターの歌唱によい彩りを添えているのではないか。

 しゃっちょこばらない歌好きにはとても嬉しい一枚。
 大いにお薦めしたい。
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by figarok492na | 2007-09-22 13:55 | クラシック音楽

ヤマカズさんと新星日響のチャイコフスキー(CDレビュー)

 ☆チャイコフスキー:交響曲第5番
  山田一雄指揮新星日本交響楽団
  1989年録音
  <FONTEC>FOCD3239

 今は亡き山田一雄が、これまた今はなき新星日本交響楽団を指揮したチャイコフスキーの交響曲第5番のCDを聴く。
(なお、1989年初出のこのCDは長らく廃盤となっていたが、最近タワーレコードの企画によって限定最発売された)

 ヤマカズさんの愛称で知られた山田一雄といえば、全身全霊をこめたかのような激しい指揮姿と、「ううっ、いいっ、ああっ」といった演奏中の唸り声が懐かしいが(京都市交響楽団の定期演奏会でモーツァルトの交響曲をとり上げた時など、あまりの声の大きさに、隣の着物姿の女性が必死に笑いをこらえていたほどだった)、以前にも記したことがあるように、それは「笛吹くから踊ってくれよ」という、山田一雄の強い想いの表れだったような気が、僕にはするのである。

 一方、新星日本交響楽団は、東京フィルによる事実上の「吸収合併」で消滅してしまったオーケストラだけれど、その「先鋭」と呼ぶ他ない成立過程*や、日本の作曲家の作品を積極的にプログラミングしていたこと、オペラでの活動など、非常にユニークな存在だったと思う。

 で、その山田一雄と新星日本交響楽団によるチャイコフスキーの交響曲第5番だが、ライヴ録音ではないということもあって、若干熱気のようなものには不足するものの(唸り声も聴きとれない?)、その分造形のしっかりした、オーソドックスな演奏に仕上がっているのではないか。
(個人的には、第3楽章が一番好きだ)
 新星日響も、オーケストラの「限界」は感じさせつつも、山田一雄の解釈によく添った演奏を行っていると思う。

 単に貴重な記録というだけではなく、チャイコフスキーの交響曲第5番を愉しむという意味でもお薦めできる一枚。
 機会があれば、ぜひご一聴のほどを。


 *第1回目の定期演奏会でカンタータ『返せ沖縄』(抜粋)が、第2回目の定期演奏会で清瀬保二のレクイエム『無名戦士』が演奏されている、ということだけをここでは記しておく。
 以上、『日本の交響楽団 定期演奏会記録』<民音音楽資料館>より。
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by figarok492na | 2007-09-15 12:52 | クラシック音楽

コジェナーのヘンデル(CDレビュー)

 ☆ヘンデル:アリア集
  マグダレーナ・コジェナー(メゾソプラノ)
  アンドレア・マルコン指揮ヴェニス・バロック・オーケストラ
  2006年録音
  <ARCHIV>477 6547

 少し前に購入した、マグダレーナ・コジェナーの歌うヘンデルのアリア集のCDを聴く。

 ヘンデルのアリア集といえば、アンジェリカ・キルヒシュラーガーのCDをとり上げたばかりだけれど、あちらが折り目正しいスーツ姿、もしくはぱりっと決まった宝塚の衣裳風の歌唱だとすれば、こちらコジェナーは、変幻自在の早変わりとでも評したくなるような歌いぶりを発揮している。
 このCDには、『アルチーナ』、『ヘラクレス』、『アリオダンテ』、『オルランド』、『リナルド』といった10の作品から、それぞれ聴きどころ満載のアリアが選びとられているのだが、コジェナーは透明感のある美しい声と豊かな表現力を活かして、一つ一つのアリアの持つ性格性質を見事に描き分けていると、僕は思う。
 マルコンとヴェニス・バロック・オーケストラも、いわゆるイタリア流儀のバロックアクロバティックな演奏でコジェナーをよく支えているのではないだろうか。

 全曲、全く聴き飽きることのない一枚。
 多くの方にお薦めしたい。


 *追記
 ちょっとコジェナーの声が「響きすぎ」かな、と思ったことも事実。
 あと、ボーナストラックがついていないのは残念だが、『リナルド』の有名なアリアでCD的な「しめ」はきちんとついていると思うので、まあよしとしよう。
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by figarok492na | 2007-09-04 13:41 | クラシック音楽