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よいお年を!

 三日がかりの大掃除を終えて、ようやく一段落着いたところだ。

 今年も残すところあと僅かだが、皆さんにとって2007年はどのような年だったろうか。
 政治的、経済的、文化的、といった、いわゆる社会的な諸々はひとまず置くとして、僕にとっての2007年は、様々な意味で厳しく辛い一年となった。
 ただ、そうした厳しく辛い経験が、これから先に大きくいきてくるのではないかと思うし、また、いかしていかなければならないとも強く思っている。

 今年は諸般の事情から、ほぼ3ヶ月間、お芝居と離れることになってしまったが、それがかえって、自分の中でのお芝居の意味合いを再確認するきっかけともなった。
 いずれにしても、2008年は、自分自身が観たいと強く思うものだけを観、聴きたいと強く思うものだけを聴く、という一年にしたい。

 そして、悲壮でもなく皮相でもない場所に立って、あらゆる事どもと対峙していく一年にもしたい。

 皆さんの2008年が、今まで以上に幸多く、充実した一年となりますように。
 それでは、よいお年を!
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by figarok492na | 2007-12-31 14:19 | CLACLA日記

武満徹のギター作品集を聴く(CDレビュー)

 ☆武満徹:ギター作品集
  福田進一(ギター)
  1996年録音
  <DENON>COCO−70936


 先日購入した、福田進一の弾く武満徹のギター作品集『イン・メモリアム』をとり上げる。
 なお、このCDは、1997年1月に武満徹を追悼する意味合いもこめて発売された録音を、クレスト1000シリーズ中の一枚として再発売したものである。

 まずは、何と言っても『ギターのための12の歌』がお薦めだろう。
 と、言うのも、『ロンドン・デリーの歌』を皮切りに、『オーバー・ザ・レインボー』、『早春賦』、『星の世界』、ビートルズの『ミッシェル』、『ヘイ・ジュード』、『イエスタデイ』、そして革命歌『インターナショナル』*といった、おなじみの12の歌たちが、武満徹の手によって、リリカルで美しいギター独奏曲に生まれ変わっているからだ。
 このうち、『ミッシェル』以下の3曲は、すでにエマニュエル・バルエコの弾くビートルズ・アルバムで慣れ親しんだものであるけれど、他の歌の編曲の巧みさも見事という他ない。
(個人的には、特に『早春賦』のほのかな温もりと、『星の世界』のポップなのりが大好きだ)

 また、他の『フォリオス』、『すべては薄明の中で』、『エキノクス』(エキノコックスではない)も、武満徹の特質がよく表れた透明感と抒情性に富んだ音楽で、非常に魅力的だ。

 一方、武満徹の死を悼んでレオ・ブローウェルが作曲した『HIKA 〜イン・メモリアム・トオル・タケミツ』も、ギターという楽器の持つ機能性を十二分に活かした聴き応えのある技巧的な作品だけれど、ちょっと異質というか、微妙にしっくりこない感じがしたことも事実である。

 福田進一のギター演奏は、とても素晴らしい。
 技術的な冴えはもちろんだが、12の歌で如実に示されているセンスのよさも忘れてはならないと思う。

 税込み1050円ということもあって、ぜひとも多くの方にお聴きいただきたい一枚。
 大推薦だ。


 *追記(書き忘れ)
 社会主義共産主義が退潮してしまった今となってはなんのことやらわからないかもしれないが、「立て飢えたる者よ、今ぞ日は近し」で始まる革命歌『インターナショナル』は、このギターのための12の歌が編曲された1977年当時は、ある種のノスタルジーが含まれているだろうとはいえ、一応「コモンセンス」を得た歌の一つだったし、相当時代のずれはあったにせよ、僕も学生時代に何度か歌わされたことがある。
(歌詞もメロディーも忘れてしまったけれど、『国学連の歌』という歌も歌わされたことがあったな。さすが、立命館!)

 そういえば、岩下志麻が父親の影響か何かで映画撮影の合間にこの『インターナショナル』を口ずさんでいることがある、と以前林光さんがコンサート(確か、イシハラホールでの日本の歌関係の)で語っていたんじゃなかったっけ。
 岩下さんの歌う『インターナショナル』、一度聴いてみたいような気がする。
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by figarok492na | 2007-12-21 14:24 | クラシック音楽

プーランクづくし・2(CDレビュー)

 ☆プーランク:室内楽曲全集
  エリック・ル・サージュ(ピアノ)他
  1998年録音
  <RCA>74321−63211−2(2枚組)


 今度は、プーランクの室内楽曲全集をとり上げる。
 なお、このCDは、前回とり上げたピアノ協奏曲集と一まとめにされて、廉価盤=「タンデム」シリーズとして発売されている。

 これはもう、耳のごちそうと呼ぶ他ないCDではないか。
 と、言うのも、リリカルで清澄な響きを持ったフルート・ソナタに始まって、次から次へと耳なじみがよくって聴き心地のよい音楽が繰り出されるのだから。
 しかも、ただただ甘ったるいだけではなく、時に、過去を振り返るかのようなちょっとしたほろ苦さもそこには混じっていて、全編聴き飽きない仕掛けがほどこされている。
(もちろん、プーランクお得意の、おもちゃ箱をひっくり返して蹴り散らかしたような騒々しさにも不足していない)
 個人的には、管楽器のための作品が大好きなのだけれど、コリア・ブラッハーの弾いたヴァイオリン・ソナタや、フランソワ・サルクの弾いたチェロ・ソナタのしゃれた味わいにも心惹かれる。

 フルートのエマニュエル・パユ(ただし、ソナタはマチュー・デュフールの演奏。こちらも素晴らしい)、オーボエのフランソワ・ルルー、クラリネットのポール・メイエら、若手奏者陣の演奏は見事だが、そうした面々を巧みにバックアップし、時には前面に出て妙技を披露したエリック・ル・サージュのピアノ演奏も忘れてはならないだろう。

 録音も、作品と演奏によく添って実にクリア。
 フルプライスでも大推薦の2枚組CDが、ピアノ協奏曲集とあわせて税込み1500円前後で手に入るというのだから、これは
どう考えたって買うしかない。
 室内楽ファン、管楽器ファン、フランス音楽ファンならずとも、大いにお薦めしたい。
 CDショップへ急げ!!
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by figarok492na | 2007-12-12 14:28 | クラシック音楽

プーランクづくし・1(CDレビュー)

 ☆プーランク:ピアノ協奏曲集
  エリック・ル・サージュ(ピアノ)
  フランク・ブラレイ(ピアノ)
  ステファヌ・ドネーヴ指揮リェージュ・フィル
  2003年録音
  <RCA>82876−60308−2


 プーランクの2台のピアノのための協奏曲ニ短調、ピアノ協奏曲ハ短調、そしてピアノと18楽器のための舞踏協奏曲「オーバード」を集めたCDを聴く。
 なお、このCDは、次回とり上げる予定の室内楽曲全集と一まとめにされて、「タンデム」シリーズ=廉価盤として発売されている。
(僕自身も、「タンデム」シリーズ分を手に入れた)

 プーランクといえば、甘くて切なくてやかましい音楽の書き手、という印象が、僕にはどうしても強いのだけれど、まさしくこのピアノ協奏曲集は、そうした印象を裏切らない「魅力的」な一枚となっている。
 特に、まるで松竹製作、野村芳太郎監督『鬼畜の器村』*のテーマ音楽的な出だしを持ったピアノ協奏曲は、プーランクのイメージ通りの作品に仕上がっているのではないか。
 モーツァルトやらフォスターの『スワニー川』そっくりのメロディーがとび出す終楽章など、プーランクの面目躍如だろう。
(この曲のリハーサル中、オットー・クレンペラーがえらく毒づいたことは案外有名だけど)
 一方、ラフマニノフの『パガニーニの主題による狂詩曲』のようなちょっと激しい開始の2台のピアノのための協奏曲も、よい意味ですぐに腰がくだけるし(その後、打楽器の乱打があるとはいえ)、「オーバード」だってミステリアスな雰囲気を漂わせつつも、きちんと「オチ」を決めてくれる。
 いずれにしても、ニ短調、ハ短調、という調性がついていることからもわかるように、全編耳なじみがよくって聴きやすい音楽のオンパレードである。
(まあ、あまりにも歯応えがなさすぎると感じるむきもあるだろうけどさ、プーランクだって、何も自分のピアノ協奏曲ばっかり聴いてくれとは思っちゃいないだろうし。要は、バランスってことじゃないでしょうか?)

 エリック・ル・サージュの演奏は、クリアでスマートだ。
 べたべたやってしまうと、ただの馬鹿騒ぎとしか思えないところを、きちんとセンスよく聴かせてくれる。
 また、2台のピアノのための協奏曲で共演しているフランク・ブラレイも、遜色のない出来。
 ステファヌ・ドネーヴ指揮リェージュ・フィルも、基本的には不満のない伴奏で、ことに管楽器の音色が美しい。

 フルプライスでもお薦めできる録音だけに、お得な廉価盤なら買いも買い。
 「タンデム」シリーズならば大推薦だ。

 *このCDを聴いていて、芥川也寸志って、プーランクの影響も受けてたんじゃないかとふと思ったりした。
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by figarok492na | 2007-12-12 12:11 | クラシック音楽

デジタル録音時代のスタンダード(CDレビュー)

 ☆ベートーヴェン:弦楽4重奏曲第13番、大フーガ
  クリーヴランド・カルテット
  1995年録音
  <TELARC>CD−80422


 先日購入した、クリーヴランド・カルテットの演奏する、ベートーヴェンの弦楽4重奏曲第13番と大フーガのCDを聴く。
 なお、このCDは、惜しまれつつも解散したクリーヴランド・カルテットの置き土産と評してもよい、ベートーヴェンの弦楽4重奏曲全集中の一枚である。

 で、聴き応えのあるCDだなあ、というのが、僕の正直な感想である。
 もちろん、だからと言って、ベートーヴェンの後期の弦楽4重奏曲は難解でね、なんて高説をぶつつもりなんてさらさらない。
 つまりは、作品の持つ情報量の多さ、言い換えれば愉しさが巧みに表現された録音である、と僕は言いたいのだ。
 しかも、まるでオーケストラのひな形といった風に機能的で密度が濃いい演奏を行っているにもかかわらず、例えばアルバン・ベルク・カルテットやハーゲン・カルテットのように「鋭角さ」が前面に押し出されることがない。
 本来、この弦楽4重奏曲の終楽章となるはずだった大フーガも充実した内容となっており、CDとして繰り返し聴くのに相応しい一枚に仕上がっているのではないか。
(「鋭角さ」が悪いって訳じゃないけど、繰り返して聴くのにはちょっとねえ…)

 テラーク・レーベルらしい録音のよさも含めて、クリーヴランド・カルテットによるベートーヴェンの弦楽4重奏曲全集は、デジタル録音時代のスタンダードの一つとすら感じた。
 大いに推薦したい。
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by figarok492na | 2007-12-04 12:58 | クラシック音楽