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喜多宏丞のこれからが愉しみだ

 ☆第16回ABCフレッシュコンサート

   指揮:飯森 範親
  管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
   独唱:森川  泉(ソプラノ)
   独奏:喜多 宏丞(ピアノ)

   座席:2階 GG列45番(休憩前)
         RD列 1番(休憩後)


 大阪のザ・シンフォニーホールまで、第16回ABCフレッシュコンサートを聴きに行って来た。
 去年はパスしたので、このABCフレッシュコンサートに足を運ぶのは、2年ぶりということになる。

 で、けっこう早めに行ったのに、あんまりいい席をあてがわれなかったので「ありゃりゃ」と思っていたら、隣にマツモトチヅオと安田大サーカスのクロちゃんを混ぜこぜにして頭をちょんまげっぽく結んだむさい男がやって来て、傲慢無礼な態度をとる。
 またぞろ機智害を呼んでしまった訳で、仕方がないので席を変えてもらったのだが、これが2階正面の奥のほうでますます「ありゃりゃ」という気分になってしまう。
 まあ、休憩後、勝手に別の場所に移って事なきをえたとはいえ、どうしてこうなるのかね全く。
(移った場所では、演奏中のおしゃべりにちょっと参った)

 さて、と。
 僕がもっとも愉しんだのは、喜多宏丞の独奏によるフランクの交響的変奏曲。
 父っちゃん坊や的な風貌(若い頃の小林信彦風。京都小劇場界の人にわかるように言えば、田辺剛さんを少し大きめにしたといったところか)と地味めの作品ということもあって、実はそれほど期待していなかったのだれど、いやあ、偏見はあきませんね。
 まずもってフランクの音楽の持つ耽美的な性質を丁寧に表現していたし、テクニックという点でも基本線は十二分に押さえている。
 そして、その過剰なほどの身ぶり手ぶり!
 一つ間違うと悪趣味に思われかねないパフォーマンスなんだけど、たぶんこれは喜多君にとってどうしても必要なものなんだろうということが想像できて、僕には好感が持てた。
(ブレンデルや内田光子、ファジル・サイの影響があるのかなと思っていたら、なんと彼、趣味のマジックを取り入れたコンサートを企画したりもしているそうで、なるほどなあと思う)
 いずれにしても、これからが愉しみなピアニストだ。
 大好きだというハイドンをはじめ、古典派の作品も聴いてみたい。

 一方、チャイコフスキーの『エフゲニ・オネーギン』の手紙の場と、グノーの『ファウスト』の宝石の歌を歌った森川泉も、全体的に硬さはあるものの、伸びがあって透明感のある声質は魅力的で、磨けば磨くほどいい歌い手になるのではと感じた。

 東野圭吾の颯爽とした弟といった感じの飯森範親は、『エフゲニ・オネーギン』のポロネーズ、リムスキー=コルサコフのスペイン奇想曲、ラヴェルのボレロをシンフォニックにドラマティックに描き上げていた。
 ただ、音楽に良い意味での隙間や膨らみがないというか、もちょっとエロス・タナトス、音楽の持つ「狂」的なものを聴きたいと思ったことも事実だ。
 その分、スペイン奇想曲、ボレロとも、ラストの部分の盛り上げ具合煽り具合は見事だなとも思ったが。

 大阪フィルは、チャイコフスキーの伴奏など、弦楽器の美しさに比して、管楽陣の弱さを強く感じたけれど、ボレロは大禍なく演奏し終えたのではないか。
(全体的に、いくぶん機能性に欠けるきらいがあることは否めないと思う)

 アンコールは、ビゼーの『アルルの女』第2組曲からファランドール。
 チェコ・フィル室内管弦楽団とのアルバムでもとり上げるなど飯森さんお得意の一曲で、先述した不満はここでも感じたものの、熱の入った音楽に仕上がっていた。
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by figarok492na | 2008-02-03 19:35 | コンサート記録