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長崎日記・中

☆4月14日(水)

 一枚の写真に写されたある人物の姿から、その人の思想人格趣味識見来し方行く末の全てをずばり言い当てることなどとうていできるわけがない。
 もしそんなことができると言い張る人がいるならば、その人は相当気が違っているか、単なる嘘つきか、あるいはその両方のどれかだろう。

 が、しかし、一枚の写真に写されたある人物の姿から、その人(あわせて写した人)の生気や精気、勢気や性気、さらには凄気や聖気の一端を感じ取ることもまたできるのではないか。
 少なくとも僕は、一枚の写真から様々なイメージを膨らませ、そこに写し取られたひと、もの、ことについて想い考えることが大好きで仕方がない。
 まして、自分自身が直接目にし触れることのできない、過去のひと、もの、ことについての写真ならばなおさらだ。

 そんな僕の好みにぴったりの写真展がちょうど長崎で開催されていることを、13日の帰りのバスの広告で知ったので、迷わず足を運ぶことにした。
 桜町公園前のバス停から歩いてすぐのところにある長崎歴史文化博物館、その3階企画展示室で開かれている『幕末長崎古写真展 龍馬と彦馬 維新のまなざし』がそれで、NHKの大河ドラマ『龍馬伝』にあやかったとおぼしきサブタイトルには、嘘ではないけど若干こじつけ気味かなと感じたことも事実だが、やはりこれは観ておいて正解の写真展だった。
(そういえば、NHKの地元の番組で、龍馬姿の福山雅治さんを目にしたが、福山さんは本当に若いなあ。実は、福山さんは淵中学校の一学年先輩にあたるんだけど、彼のほうは早生まれだから、実際は同い年なのだ。彼と我との違い。ああ…)

 副題にもあるように、今回の写真展では日本初の写真家の一人上野彦馬(とその弟子)が撮影した写真のほか、医学を教えるために当時長崎に滞在していたオランダ人アントニウス・フランシスカス・ボードイン(弟は駐日オランダ領事)の撮影したものもあわせて展示されていて、幕末や明治初期に生きた武士や町民(その中にはもちろん女性も含まれる)、外国からの客人たちの姿や、そのころの長崎の風景に、ときに心がなごみ、ときに圧倒される。

 そこには、坂本龍馬をはじめ、岩崎弥太郎や陸奥宗光といった歴史上有名な人々の写真もあって、それはそれで興味深かったのだが、個人的には名もない人たち(例えば、上野彦馬の指示に従ってだろう、慣れぬポーズを決める町人や女性たち)の写真により引き付けられた。

 それと、写真の中心で撮影されると魂が抜かれるという迷信を真に受けたものか、真ん中に位置している人の顔が削り取られている写真が何枚もあったことや、上野彦馬が二重写しなど技巧的な試みを積極的に行っていたことも、僕には面白かった。

 ただ、写真に付けられた解説には、時々おやと思うものも含まれていた。
 特に、大大名と推測されている一枚は、他のコーナーに展示されている上野彦馬の弟子井上俊三と同一人物ではないだろうか?
(これは、何度か見比べての感想である)

 いずれにしても、たった500円でこれだけの写真に触れることができるのであれば、全く文句はない。
 5月31日まで開催中(開催期間は休館日はなし)で、歴史好きの人以外にもなべてお薦めしたい。
(僕個人としては、この写真展を観たあと、ぜひとも平和資料館などで被爆直後の長崎のひと、もの、ことを確認してもらいたいと思う。幕末・明治初期の長崎と、8月9日の長崎とがどうつながり、どう切断されているのかを考えるよいきっかけになるはずだと、僕は思うからだ)


 この日は、長崎歴史文化博物館に向かう前に、近くの桜町小学校内にある入場無料のサント・ドミンゴ教会跡資料館をのぞき、写真展のあとは浜町まで二日続けて出て、もみおこしがあったこともあってマッサージセンター西濱で50分ほどマッサージをしてもらったりもした。
 サント・ドミンゴ教会跡資料館は、江戸時代初期に建てられたサント・ドミンゴ教会、さらにその跡地に建てられた末次高木両長崎代官屋敷に関する資料館で、教会時代の「用途不明の大型石組地下室」というものに、想像力をかきたてられた。
 また、マッサージセンター西濱では丁寧なマッサージを受けることができた。
by figarok492na | 2010-04-19 14:55 | CLACLA日記
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