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喀血劇場『千和、立ったまま眠っている(extended)』

☆喀血劇場『千和、立ったまま眠っている(extended)』

 脚本・演出:唐仁原俊博
(2012年6月10日、京都大学吉田寮食堂)


 先日、取り壊しの危機を脱したばかりの京都大学吉田寮食堂。
 劇団愉快犯の公演が終わって休む間もなく、ばたばたとばらしの作業が開始された。
 と、言うのも唐仁原俊博が主宰する喀血劇場の夕方の公演が、早速控えているからである。
 開場待ちのお客さんがどんどん並ぶ。
 それでもばらしは続く、荷物運びは続く。
 劇団愉快犯の笹井左保の顔もそこにはある。
(余談だが、彼女が出演していたら劇団愉快犯の公演も観たんだけどなあ…)
 と、なんとかばらしが終わったようだ。
 定刻からしばし遅れての開場。
 そして、定刻からしばし遅れての開演。

 なあんて、こんな風に書いていくと、なんだかしんねりむっつりしたくそ面白くもないお芝居が始まったかのように思えるけど、さにあらず。
 喀血劇場にとっては初の再演物となる『千和、立ったまま眠っている(extended)』は、すこぶるめっぽう面白いお芝居だった。
 基本的な部分は京都学生演劇祭2012をしっかり踏襲していて、ツボをよく押さえた笑いをまぶしつつ、唐仁原俊博のお芝居演劇に対する強い想いがリリカルに、なおかつ含羞をもって描き上げられているのだが、そこにテンポ感のよさが加わって、初演時と比べると約25分ほど上演時間が延びたにもかかわらず、全く長さを感じさせない作品に仕上がっている。
 また、初演からの世古有紀奈、古野陽大、谷脇友斗と、新たに加わった北川啓太、肥後橋輝彦、裏井小百合、髭だるマン(初演時の菅原タイルのよい意味での傲岸不遜さに対し、彼の人のよさがよく出ていたように感じた)の演者陣は、個々の演技としてもアンサンブルとしても安定度を増しており、唐仁原君の伝えようとするところ、作品の世界観をよく汲み取っていたと思う。
 むろん細かいことを言い出せばあれこれと言えないこともないが、まずは生でお芝居を観る愉しみを存分に味わえて大いに満足がいった。
 そして、喀血劇場の次回公演を愉しみにしたい。

 ああ、面白かった!
by figarok492na | 2012-06-11 00:11 | 観劇記録
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