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てんこもり堂 第5回本公演『真、夏の夜の夢』

☆てんこもり堂 第5回本公演『真、夏の夜の夢』

 原作:シェイクスピア(『夏の夜の夢』)
 翻訳:小田島雄志
 構成・演出:藤本隆志
(2013年7月6日14時開演の回/アトリエ劇研)


 てんこもり堂にとって5回目の本公演となる『真、夏の夜の夢』は、2010年11月のぶんげいマスターピースのシェイクスピア・コンペに始まって、翌11年9月の青柳敦子演出の『K・リア ~ヒメミコタチノオハナシ~』への出演、さらに一連の明倫ワークショップと、この間シェイクスピアと系統立てて向き合ってきた藤本隆志、金乃梨子の二人にとって、その集大成となる公演だったように思う。

 ハムレット的、マクベス的な引き裂かれる自己と言ってしまえばありきたりで大げさに過ぎるかもしれないが、演出面において、よい意味での「学芸会のお芝居」のような面白さ愉しさと、例えばニットキャップシアターの『さらば箱舟』の出演などで咀嚼吸収してきたものとを如何に結び合わせるかという意味で、成功した部分と若干の無理(詰まりきらなさ)を生んでいた部分とにわかれていたように感じられる場面もありはしたものの、登場人物間の関係性や作品の構図を通してシェイクスピアのテキストの持つ生きることのおかかなしさと人の心の動きの不思議さがよく表わされていたのではないだろうか。
 テルやん、芦谷康介、マキノナヲキ、岡本梢、渡邉裕史、ケる子、長田美穂という、一癖も二癖もあるバラエティに富んだ演者陣の特性魅力も、巧く発揮されていたと思う。
 中でも、終盤の中嶋やすきの台詞が強く印象に残った。
 また、かつてのハラダリャンとのコンビネーションを彷彿とさせるような笑いの仕掛けも細かく施されていたし、意識無意識は置くとして、藤本隆志の「私」の部分が垣間見えていた点も、僕には非常に興味深かった。

 いずれにしても、てんこもり堂の今後の活動に期待していきたい。

 ああ、面白かった!
by figarok492na | 2013-07-06 20:56 | 観劇記録
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