☆劇団愉快犯 番外公演『今日のおばんざい』
(2013年9月1日14時開演/人間座スタジオ)
折に触れてシンパであることを公言しながら、よくよく考えてみれば京都学生演劇祭での公演しか観たことのなかった劇団愉快犯の番外公演『今日のおばんざい』に足を運んだ。
一言で評せば、オフビートな短篇集ということになるだろうか。
愉快犯の名に恥じぬ、捻りの効いたオムニバス作品となっていた。
で、身びいき偏見は許すまじと、脚本・演出・出演者等、チラシには一切目を通さず観劇したのだけれど、もっとも自分の好みに合っていたのは、『昼食同盟』(ヒラタユミ脚本、石濱芳志野演出)。
コントはコントでも本来のフランスのコントとでも呼びたくなるような、高校生二人のおかしさをためた昼食時の淡々としたやり取りと感情の揺れを活写した佳品で、演じ手の近衛ひよこと鈴木邦拡もナイーヴな展開によく沿っていた。
ただ、ラストで場面を変えたのは、流れが切れてしまってちょっと残念かな。
同じ場所で全篇話を通してもおかしくないと感じたのだけれど。
それでも、ヒラタさんにはますます期待したいとも僕は思う。
『あげまん』(バケツ脚本、北川啓太演出)は、タイトルだけを見れば単なる下ネタのように思ってしまいそうだが、そこはバケツ&北川コンビだ。
バーバルギャグに徹して、下品さを感じさせなかった。
てか、北川君が出るだけでずるいや。
受け手の平井良暉の素直さもよかったが。
『嫌煙?』(髭だるマン脚本・演出)は、シックでスマートに決めたさそうな髭だるマンを、やたけたなてんま1/2がかく乱するという、まさしく劇的細胞分裂爆発人間和田謙二らしい内容だった。
少々粗くもあるが、やはりこの二人は面白い。
『あろう』(笹井佐保脚本、鈴木邦拡演出)は、「あろう」としか口にしない殿様を抱えた一族郎党のやっさもっさ右往左往を描いた作品だが、政治性だとかなんだとか余計なものを付け加えたくなる設定を、笑いの線で留めたあたり、笹井佐保の賢しさを感じる。
笹井さんの作品は、もう少し長いものも観てみたい。
あと、演者陣では、垣尾玲子央菜のピントのずれた色気が印象に残る。
それと、石濱芳志野は、ストレートプレイでの演技にも接してみたいと思った。
いずれにしても、次回の公演が非常に愉しみだ。