☆ネオラクゴ・フロンティアsection50
*ゲスト 桂三幸さん、センサールマン、回転ハッスル石村さん、桂三河さん、月亭天使さん、桂あおばさん、桂恩狸さん、月亭方気さん、笑福亭笑利さん、太陽の小町、「努力家でもあり、ボンクラでもある。」 (2015年10月5日19時開演/錦湯) 遂に迎えた月亭太遊さんのネオラクゴ企画、ネオラクゴ・フロンティアsection50は、奇しくも一周年となるアニバーサリー回。 台風で中止となった一回と、体調不良(プラス様子見)でお休みした一回を除いた残り全ての回を拝見してきた人間としては、やりもやったり、続きも続いたりの感慨ひとしおである。 そして、そんな記念すべき回に相応しく、ゲストも総勢11組14人にのぼる超豪華版。 ご新規さんにリピーターさん、常連さんの大盛況、しかも読売テレビの取材撮影まで加わって19時スタートで22時過ぎに終わる、3時間超えの笑いの長丁場となった。 まずは、ゲストの面々が自己紹介で盛り上げる。 しかも、初期フロンティアで活躍した太陽の小町のお二人が花束を持って現われるというサプライズまであり、異様な熱気に包まれる。 で、じゃんけんで出演順を決めたところで、やおら恩狸さんが登場。 今日(10月5日)、27歳の誕生日を迎えましたとの報告でささっと〆て前座の役割をきれいに果たす。 お誕生日おめでとうございます! 見事M-1グランプリの一次を突破した「努力家でもあり、ボンクラでもある。」は、努力クラブの合田団地君とB級演劇王国ボンク☆ランドの西マサト国王による出来たてほやほやの漫才コンビ。 前回出場の際に場つなぎで演じた「アメリカン・チンポ」のネタをぶつけるとは、フロンティアならでは(?)の狂気の沙汰も笑い次第か。 西国王の妄想暴走と合田君の醒めのコントラストも買いだ。 続くは、月亭一門の天使さん。 アメリカン×××のあとではさぞやりにくかろうと思ったが、『十徳』を非常にテンポよく演じて、しっかり笑いをとっていた。 シンプル・イズ・ベスト。 加えて、あえて太遊さん流を演じたところに、天使さんの想いも感じたりした。 三組目は、フロンティアの中期以降を彩ってきたセンサールマンのお二人。 フロンティアのゲスト出演一回目で披露した「『桃太郎』の読み聞かせ」を再演していたのだけれど、「プロとはかくなるもの」の意気を強く感じるかっちりと造り込まれたネタと安定した芸で、畳みかける愛植男さんも見事なら、受ける山崎仕事人さんも見事と、大いに笑いつつ感嘆した。 それにしても、このネタ何度見ても面白いなあ。 大好きだ。 回転ハッスルの石村一也さんは、フロンティアのsection41のトークコーナーで繰り広げたビックリマンチョコのネタの中から、本物とバッタモンのあまりの違いを示していとおかし。 が、石村さんのビックリマンチョコ・サーガはまだまだ奥が深いはず。 錦湯さんへのさらなる登場を期待したい。 『フェイク・ショウ』で七色亭桜餅を演じたあおばさんは、フロンティアで接するたびにその研鑚の成果がうかがえてきた。 こうした点もまた、フロンティアの大きな愉しみであり、あおばさんの高座に接する愉しみだったと思う。 今夜は小噺で攻めていたが、その攻め具合の加減から、あおばさんの柄、フラが垣間見えてくるのも面白い。 次回以降、『景清』のような大ネタでの攻めも愉しみだ。 あっ、バレ噺も。 フロンティアといえば、太遊さん。 だけではなく、フロンティアといえば、やはり三幸さんも忘れてはなるまい。 お客さんとの対話も辞さないマクラや、回を重ねるごとに過激化する「実験性」と、第二のホームグラウンドとでも呼ぶべき真価を、三幸さんはフロンティアで発揮してきた。 記念すべき今回も、本来ワイヤレスだけれどワイヤレスにはしないスピーカーを駆使したネオはめ物を演じる。 おなじみスマホに入った留守電のネタだが、マクラも短めで直球勝負。 それもまた面白し。 もちろん、いつもの三幸節も待ち遠しいが。 と、ここで中入り代わりに太遊さんを囲んでのネオラクゴ・トーク。 フロンティアで演じた新作を振り返るというもので、この間の太遊さんの成果(と苦心惨憺ぶり)に改めて感じ入った。 週一の新作発表って、本当に並大抵なことではないと思うなあ。 さて、後半戦は太遊さんの盟友三河さんから。 落語家としての出演のほか、大喜利の司会と、準レギュラーとしてフロンティアを支えてきたのが三河さんだ。 さらには、独自の企画の開催は当然のこと、こうやってフロンティアに出演することによっても、三河さんならではの新作落語が進化してきたように僕には感じられる。 今回、老舗の蕎麦屋を畳んでインド料理の店を開こうとする親父の姿を描いた『サプア』を三河さんは再度演じていたが、その心意気と滑稽さはネオラクゴ・フロンティアにぴったりではなかったか。 太遊さんとNSCの同期で、落語家としては後輩にあたる笑利さんは、歌舞伎の鯉つかみを取り入れた新作に挑む。 ツケ(しゃもじでパタンパタンと歌舞伎風の音を入れる)に天使さんを配するなど、仕掛けはばっちり。 が、今回初めて高座にかけるネタということで、次々とトラブルが発生し、そちらのほうで大きな笑いが起こってしまったし、実際おかしくて仕方なかった。 ただ、手製の人形や被り物は、師匠の鶴笑さん譲りでもあるわけで、笑利さんがこれからどういった落語を仕掛けてくるか、僕はとても愉しみだ。 あと、同じ時代劇好きとしては、そこらあたりのネタもリクエストしたいところである。 そうそう、太遊さんも交えて、笑利さんと大衆演劇みたいな出し物をやってみたい。 太陽の小町は、つるちゃんの不可思議な言動に、常人(と見えて、実はどこかおかしく怪しい)ヤスダ君が振り回されるというネタが持ち味の男女コンビ。 今回もそうした展開のネタを演じていたが、東京に活躍の場を移してより洗練されたというか、二人のやり取りが一層充実してきたように感じられた。 人柄も含めて親近感を覚えるコンビで、東京での幅広い活躍を心から祈りたい。 元漫才コンビのアルトバイエルンで鳴らした月亭一門の方気さん。 マクラで「火の用心」の大きな声が入るも、それをしっかり笑いに換える。 で、本題は『初天神』。 相当刈り込んだものだったけれど、本筋を押さえつつ方気さんならではの笑いを盛り込んだ高座に仕上げていた。 方気さんの古典をじっくり聴きたい。 とどめの太遊さんは、『俺のネタを総て君にやる』。 これまでネオラクゴ・フロンティアで発表してきた数々の作品の中から、ネオラクゴの真髄を随所に盛り込んだ(『プロポリスマン』同様、石村さんの助演あり)、まさしくアニバーサリーだからこその新作。 笑いながらこの一年のあれこれを思い出すとともに、これからの太遊さんの新たな挑戦について考えたりもした。 最後は、全員が再登場。 太遊さんから、ネオラクゴ・フロンティアが今回で終わり、毎週月曜日の会は「ネオ落語・セントラル」となることが発表される。 (京都府内の井手町に太遊さんの新たな拠点が出来たこともあって、フロンティアはリスタートされることとなる) それとともに、若手落語家さんの研鑚の場所としての性格が一層強まってくるはずで、新たなお客さん方との出会いも含め、来週からのネオ落語・セントラルが非常に楽しみである。 と、とっても盛りだくさんで笑いと刺激に富んだ一夜でした。 ああ、面白かった! そして皆さん、ネオ落語・セントラルにぜひぜひお越しくださいませ!!
by figarok492na
| 2015-10-06 13:34
| 観劇記録
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