それにしても、かつて苦労の末にリムジンバスに乗り込んだ、劇団四季の浅利慶太は、今頃になって木炭バスに乗り急ごうとする京都演劇界の面々を見て、どのような感情を抱くのだろうか。
ほら見たことかと嘲笑うだろうか。
かわいそうだと哀れむだろうか。
いや、たぶんそのどちらでもないだろう。
人が一方向へと押し流されることの恐ろしさを識った彼は、京都演劇界のことなど範疇の外と、現在の日本の諸状況を睨みながら、新しい乗り物をさがしているのではないか。
いずれにしても、どんなバスにも乗り急ぐな。
バスには、乗り遅れろ。