☆シューベルト:歌曲集『白鳥の歌』他
クリスティアン・ゲルハーエル(バリトン)
ゲロルド・フーバー(ピアノ)
<ARTE NOVA>74321 75075 2
『白鳥の歌』は、『美しき水車小屋の娘』や『冬の旅』のようにひとかたまりの作品として作曲された歌曲集ではなく、シューベルトの死後にまとめられたものである。
(ただし、13曲目までは、シューベルトの生前『レルシュタープとハイネの詩による13の歌』として出版される予定だった)
『白鳥の歌』という言葉はひとまず置くとして、この歌曲集がシューベルトという作曲家の多様な側面を表していることは明らかで、時にはシリアスであったり、時には抒情的であったり、時にはユーモラスでさえもあったりと、シューベルトの歌曲の幅の広さを堪能できると思う。
(僕は、ザイトルの詩による終曲『鳩の便り』がたまらなく好きだ)
ゲルハーエルは、よくテキストを読み込んで、一つ一つの作品の持つ特性を丁寧に表現しているが、その素朴で暖かみのある声質もあってか、「知」が先に来る歌唱にはなっていない。
値段も非常に手頃で、大いにお薦めできるCDだ。
(有名な『セレナード』で、一箇所声が割れているのが惜しいとはいえ)