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一日一枚 42:イタリアより

 ☆リヒャルト・シュトラウス:交響的幻想曲『イタリアより』、交響詩『マクベス』
  デヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団
  <ARTE NOVA>74321 77067 2

 デヴィッド・ジンマンとチューリヒ・トーンハレ管弦楽団のコンビによる、リヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲シリーズの中から、初期の作品、交響的幻想曲『イタリアより』と交響詩『マクベス』の入った一枚を聴く。
 『イタリアより』は、一つの主題が、カンパーニャにはじまり、ローマ、ソレントを経て、ナポリで爆発するという構成をとっていて、リヒャルト・シュトラウスが、20代前半の頃からオーケストレーションの妙技を発揮していたことがよくわかる作品だ。
(終楽章における、デンツァの『フニクリ−フニクラ』の引用は、きわきわのラインで「聴きもの」になっている)
 ただし、後の『ツァラトゥストラはかく語りき』や『英雄の生涯』のような「寸分の狂いもない」作品設計とは異なり、どこか余分なものがそこここに残っているという感じがしないでもない。
 『マクベス』は、おなじみシェイクスピアの戯曲を音化した作品であるが、原作の神秘性や陰々滅々とした雰囲気よりも、「動的」な部分が強く意識された内容になっているのではないかと思う。
 ジンマンとチューリヒ・トーンハレ管弦楽団は、クリアで見通しのよい演奏を行っていて、作品の持つ躍動感を巧みに表現していると思う。
 輸入盤なら、新品中古とも、税込み800円以内で入手できるCDなので、ぜひともご一聴いただきたい。

 *『フニクリ−フニクラ』は、ヴェスヴィオ火山に登山電車が敷設された際、コマーシャルソングとして作曲された歌で、リヒャルト・シュトラウス以外にも、カセッラが狂詩曲『イタリア』の中で引用している。
(こちらは、リヒャルト・シュトラウス以上の「爆発ぶり」を愉しむことができる)
by figarok492na | 2006-01-04 12:24 | 一日一枚
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