☆ベートーヴェン:弦楽4重奏曲第9番「ラズモフスキー第3番」、第11番「セリオーソ」
ボロディン・カルテット
<VIRGIN>VC7 90713−2
前回に続き、ボロディン・カルテットの演奏するベートーヴェンの弦楽4重奏曲のCDを聴く。
今回のCDには、第9番の「ラズモフスキー第3番」と第11番の「セリオーソ」が収められている。
第9番は、いわゆるラズモフスキー・セットの第3番目に位置する作品で、堅固な構成の中にディヴェルティメント的な要素さえ加味された、仕掛けの豊富な弦楽4重奏曲である。
一方、第11番は、セリオーソ(シリアス、厳粛)というタイトルに相応しく、一気呵成にドラマが進行していくといった感じの、非常にシンプルで密度の濃い作品だが、初期ロマン派の先駆けのような抒情性を充分に持った音楽にもなっている。
ボロディン・カルテットは、練れたアンサンブルと奇を衒わない解釈で、二つの作品の持つ魅力を適確に描き分けていると思う。
前回のCD同様、録音は若干響き過ぎのようにも感じられるが、安心してお薦めできる一枚ではある。