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耳もたれのしないリヒャルト・シュトラウス(CDレビュー)

 ☆リヒャルト・シュトラウス:交響詩集
  デヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団
  2001年録音
  <ARTE NOVA>74321 87071 2

 HMVからのCD第2陣のうち、デヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団の演奏による、リヒャルト・シュトラウスの交響詩『ドン・ファン』、『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』、『ツァラトゥストラはかく語りき』のCDを聴く。
(ちなみに、『ドン・ファン』、『ティル』、『ツァラトゥストラ』といえば、リヒャルト・シュトラウスの交響詩の中でも一ニを争う作品であり、オーケストラの「腕力」を確かめるという意味でも、世界のオーケストラの重要なレパートリーとなっている)

 ジンマンとチューリヒ・トーンハレ管弦楽団は、ベートーヴェンの交響曲全集などでも聴かせたようなクリアでスマート、かつ均衡のよくとれた、非常に聴き心地のよい演奏を行っているのではないか。
 『ドン・ファン』なんか、少々そそくさとしすぎ、という感じもしないではないけれど、「耳もたれ」のしないジンマンの音楽づくりには、とても好感が持てる。
 特に、ティルが処刑される直前の「たあたあたあたあたあーたた」という部分は、作品の肝を巧く押さえているなと感心した。

 リヒャルト・シュトラウスってくどいやんか、と尻込みしている方にこそお薦めしたい一枚。
 なんせ、税込み700円程度なんやもの、そら絶対「買い」ですって。


 *中瀬宏之の納得いかないコーナー!

 ところで、このCDと同じ録音、同じカップリングのCDが、ソニー・BMG系から廉価盤面をして、何食わぬ顔で発売されている。
 ところがどっこいなんとこれ、アルテノヴァ盤より倍近く高い値段に設定されているのだから、性質(たち)が悪い。
 「まろは安物レーベルのCDなんて、汚らわしくて触れとうもないでおじゃるまろ」などと宣う、高尚ぶった「バカオロカ」は別にして、たいていのクラシック音楽ファンはアルテノヴァ盤を選ぶだろうから、つまりは「素人さん」相手にあこぎな商売をやっているということだ。
 榎木津礼二郎ならずとも、「こんなものがあるからいけないんだ!」とステッキで打ち据えたいかぎりである。
by figarok492na | 2007-08-22 20:57 | クラシック音楽
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