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同志社大学CLAP『セロ弾きのゴーシュ』

 同志社大学寒梅館ハーディーホールまで、同志社大学CLAP「うたとお芝居のワークショップ」終了公演、林光さん作曲、二口大学さん演出による『セロ弾きのゴーシュ』を観に行って来た。
(CLAPは、2004年より同志社大学で始まった、一般参加による舞台関係のワークショッププログラムで、昨年今年とうたとお芝居のワークショップが行われている)

 まず、賛助出演の同志社グリークラブが初々しい歌声を披露していたが、冒頭の「ワンパーパスザイン」のカレッジソングにはどうしても『カサブランカ』の酒場のシーンを思い出してしまい、つい『ラ・マルセイエーズ』を口ずさみそうになってしまった。

 で、休憩を挟んで、『セロ弾きのゴーシュ』が上演された。
(伊東恵司の指揮で、ピアノの松井萌、マリンバの長田由季が「楽士」をつとめていた)
 『セロ弾きのゴーシュ』は、おなじみ宮沢賢治の原作を林さんがオペラ化したもので、動物たちとの交流を通じてゴーシュが音楽家・芸術家として成長する姿が描かれている。
 なんてことは、ひとまず置くとして(詳しく知りたい方は、林光さん自身の著書『日本オペラの夢』<岩波新書>をご参照のほど)、林さんらしさが全面に表された、観応え聴き応えのある楽しい作品になっている。
(ただ、観聴きして感じる面白さ、聴き心地のよさに比して、実際上演する際の難しさも事実で、こんにゃく座の面々の達者さ、すごさを改めて思い知った)
 終演後、二口さんが語っていたように、ほとんど経験がないという参加者の面々の演技や歌には、どうしてもつたなさや雑然としたものを感じてしまったが、主人公のゴーシュを演じた奥田覚君をはじめとした出演者の努力や熱意も強く伝わってきて、『セロ弾きのゴーシュ』という作品の世界観にもうまく合っていたのではないかとも思う。

 楽士陣は、シューマンのライン・シンフォニーやらバッハやら、沖縄民謡やらを貪欲に盛り込んだ林さんの音楽を音楽的にきっちりと表現していたと思うが、ほんの少しだけ「劇場感覚」には不足していたかもしれない。

 あと、簡にして要を得た川上明子さんの舞台美術も印象に残った。

 来年度もうたとお芝居のワークショップが行われるとのことだが、次回はいったいどんな作品が上演されるのだろう。
 これまた愉しみだ。
by figarok492na | 2008-07-06 18:19 | 観劇記録
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