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今年観たもの聴いたもの

 2008年も大つごもり。
 と、言うことで、今年観たもの聴いたもの、さらには読んだものの中から「これは」と思ったもの(人)を振り返ってみたい。
 なお、2008年は痛風が発覚するなど体調が芳しくない状態が続いたり、そこから派生して経済的にも相当厳しい状況に追い込まれたこともあって、例年に比べて、演劇、コンサート、映画、ともに接する数が残念ながら減ってしまったことを付記しておく。

 まずクラシック音楽のコンサートからいくと、何と言っても、パトリシア・プティボンの来日リサイタルから挙げなければなるまい。
 これはプティボンの歌い手として、さらには役者としての魅力が十二分に発揮されたコンサートで、足を運んで本当によかったと思えるものだった。
(後述、ドイツ・グラモフォンからリリースされた彼女の新譜アルバムにはそこまで心を動かされなかった。やはり、彼女はライヴ向きなのではないか)
 また、広上淳一の常任指揮者就任のお披露目公演ともなった京都市交響楽団の第511回定期演奏会、特にリムスキー=コルサコフのシェエラザードは、広上さんと京響の今後の充実した共同作業を予想させるに十分な密度の濃い演奏で、強く印象に残った。

 続いて、演劇に移るが、ここではベトナムからの笑い声の第24回公演『レストラン・ザ・ペガサス』、中でも、オムニバスの前半二つの作品を第一に記したい。
(余談だけど、ベトナムは、荒木千恵さんの存在が今後の小さからぬ「鍵」になるような気がする)
 下鴨車窓の一連の公演(『旅行者』再演、『農夫』、『書庫』)では、田辺剛さんの劇作家としての力量を再確認することができた。
 これからの田辺さんの作品が、ますます愉しみだ。
 他に、同志社大学関係での、二口大学さんや広田ゆうみさんの地道な活動、諸々の公演での川上明子さんの舞台美術、魚森理恵さんの照明、小早川保隆さんの音響も忘れてはなるまい。
 演技者では、ベトナムからの笑い声の鉄壁な男性陣、『いつか、すべて消えてなくなる』での樋口美友喜さんの演技と得田晃子さんのナレーション、『着座するコブ』での武田暁さん、『かえるくん、東京を救う』での豊島由香さん、『書庫』での大熊ねこさん、CTT4月試演会・ぬるり組合での柳原良平君、同8月試演会・てんこもり堂での藤本隆志さん、同11月試演会・ルドルフ(仮)での岩田由紀さんその他。

 映画は、コスタ=ガヴラスの娘、ジュリー・ガヴラス監督の『ぜんぶ、フィデルのせい』がベスト。
 特に、主人公の女の子が図書館で何かを見つけるシーンには、非常に心が動いた。
 これはマストである。
 マストといえば、ステファン・ルツォヴィツキー監督の『ヒトラーの贋札』もそうだった。
 伝えたいことと映画としての面白さのバランスがよくとれていて、これまた多くの方にお薦めしたい。
 邦画では、川島雄三監督の諸作品や、田中徳三監督、と言うよりも、市川雷蔵の『眠狂四郎女地獄』を観ることができたのが収穫だった。
 後者は、市川雷蔵に加え、伊藤雄之助、田村高広の演技が素晴らしい。
(そうそう、『相棒』の蟹江敬三がゲストの回に、殺される評論家の役で伊藤高が出ていたが、雰囲気が父親そっくりになってきたなあ。たぶん、『相棒』では狙ってやってたんだろうけど)

 美術関連では、ギャラリー・ニュートロンでの中比良真子展が僕の好みに合っていたとだけ記しておく。
(ここでは、大好きな大田ゆら展を観逃したのが痛い!!)

 CDは、ディアナ・ダムラウ、パトリシア・プティボンの両アルバムとも水準以上の出来だったが(前者では、ジェレミー・ローラー&ル・セルクル・ドゥ・アルモニーも識ることができたし)、改めて云々かんぬんすることはしない。
 興味がおありの方は、CDレビューをご参照のほど。

 最後は読書だけれど、これは作家(著者)名とタイトルを挙げるに留める。
 宮部みゆき『誰か Somebody』、筒井康隆『銀齢の果て』、『巨船ベラス・レトラス』、『壊れかた指南』、『ダンシング・ヴァニティ』、小林信彦『うらなり』、『東京少年』、町田康『告白』、伊坂幸太郎『死神の精度』、『魔王』、西條奈加『金春屋ゴメス』、『芥子の花』、北村薫『瑠璃の天』。
 井上ひさし『闇に咲く花』。
 水谷良彰『サリエーリ』、樋田慶子『つまらぬ男と結婚するより一流の男の妾におなり』、繁田信一『殴り合う貴族たち』、通崎睦美『天使突抜一丁目』、吉田秀和『世界の指揮者』、鹿島茂『怪帝ナポレオン3世』、高崎通浩『歴代アメリカ大統領総覧』、色川武大『なつかしい芸人たち』、橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』、高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』、保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』、服部龍二『広田弘毅』、石田衣良『I LOVEモーツァルト』(モーツァルトそのものに関しては×)、長谷川如是閑集第二巻、第四巻。

 いずれにしても、来年2009年も、さらによいもの心の動くものに巡り合いたいと強く思う。
by figarok492na | 2008-12-31 12:24 | 観劇記録
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