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てんこもり堂・ミニ公演『運を主義にまかす男』

 烏丸五条から烏丸通を京都駅寄りに歩いて三筋目、その小さな路地を少し入ったところに最近壱坪シアター「スワン」というミニシアターができた。
 もともと1階は喫茶店、2階は雀荘という建物の2階部分を公演スペースに仕立て直したもので、ぎっちり詰めてもキャパは20人弱か、小規模な企画に相応しい造りとなっている。
 で、その壱坪シアター「スワン」まで、てんこもり堂のミニ公演『運を主義にまかす男』(岸田國士原作、藤本隆志さん演出/1ドリンクつき500円)を観に行って来た。
 てんこもり堂の公演は、第1回目の『夜の学校』(如月小春原作、藤本さん演出)、そして昨年のC.T.T.上演会の『運を主義にまかす男』と観てきたし、演者陣の演技にも数多く接してきた。
 加えて、演出の藤本さんとは旧知の間柄をいうこともあって、今回の公演の狙いが奈辺にあり、今回の公演で誰が何をどう得、何を得られなかったか、言い換えれば、今年7月に予定されている第2回公演『MOON』(如月小春さん原作、藤本さん演出)に向けての課題がなんであるかということが、個人的にはよくわかる内容となっていたと思う。
 特に、C.T.T.上演会とは配役その他で少なからぬ変更はあるものの、主人公の二人の青年を演じた辻井直幸君と勝二繁君の演技には、前回以上の収穫を感じたし、他の演者陣も、おのおのの役柄をどう把握し演じるかという課題にしっかりと向き合っているということが充分に理解できた。
 また、松田裕一郎さんをはじめ、演者陣の特性を活かした演出、仕掛けが多々ほどこされていたことも、やはり指摘おくべきことだろう。
 ただ一方で、演者個々のクリアすべき課題がはっきりしたことともに、演者間のアンサンブルという面(そこには、演技のテンポということも含まれる)で粗さというか、しっくりとこないものがまま観受けられたことも事実であり、それが作品の展開を時として冗長に感じさせる一因となっていたことも残念ながら否定できないのではないだろうか。
(そうしたことともつながるかもしれないが、作品の成立の背景について、当日配布のチラシに簡単な説明があってもよかったのではないかと僕は思う。あと、演じる側には「ひとつの公演」という意識が必要としても、7月の公演に向けた試演会・勉強会的位置づけ意味合いが強い公演であるという打ち出しが、もっと戦略的にあってもよかったのではないかとも、僕は思う。なぜなら、そうしたほうがより一層、お客さんと作品、お客さんとてんこもり堂という集団を親しいものにするきっかけになると、僕には考えられるからである)
 いずれにしても、今回の公演を通して見えてきたものをぜひとも大きな糧にして、次回の公演に向かっていってもらいたい。
by figarok492na | 2009-04-06 00:18 | 観劇記録
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