☆劇評三態
*劇核自覚コウシロー第5回公演 『キャン・ユー・ライト?』 (東渦岡若手演劇祭大会参加作品) 書けない書かない書きたくない。 劇核自覚コウシローの第5回公演『キャン・ユー・ライト?』(角谷甲子郎作・演出)は、そんな物書きの複雑な真情を通して、今現在を切り取ってみせる。 書けない作家の物語といえば、小川洋子の小説『原稿零枚物語』<集英社>をすぐに思い起こすが、こちらコウシローは自称三文文士の私小説作家花町凡太(西村賢太へのオマージュ)が主人公。 今日も今日とて原稿の書けない凡太は、嫌がる編集者草村繁子(くさむらしげるこ)を伴って西の方へと旅に出る。 向かうは、秘境の温泉街世毎(よごと)。 そこで二人が目にしたものは? そして凡太は原稿を書き切ることができるのか? 前半、凡太と繁子の凹凸コンビが七転八倒する様は、いつもの角谷節全開でくすっと笑えたし、中盤のだれ場も効果的だ。 けれど、後半、話が弾まない。 いや、ライトにライトでライトしようとしたって、ライトにライトがあたっていては、という角谷君の意図はよくわかる。わかるんだけど、終盤のもたつきは厳しい。 もしあの展開を活かしたいのであれば、繁子ではなく女将でお上の岡見拝子(おかみおがみこ)を前面に押し出してもよかったのではないか。それか、全ては嘘っぱちのホラ話ですよと居直ってしまうとか(角谷君の含羞はそれを許さないだろうな、きっと)。 それでも、だからこそ、ただ在ろうとする凡太の姿が神々しくも見えてくる。 凡太役の漁灯健吉(いざりびけんきち)が好演。この平平凡凡たる作家の非凡さをあるは飛び跳ねあるは歌いあるは黙り込んで演じ切った。 拝子のきらほしよも奮闘。見た目と違ってシリアスな役どころ向きの演者さんだが、トリックスターに徹していた。 繁子の足利山女(あしかがやまね)も巧くなった。ただ、渦岡小劇場界の作家演出家に好んで起用される足利さんだけど、僕には今ひとつしっくりこない。 足利さんはルックスもよいし、その努力も買う。しかし、その努力は果たして演劇で発揮されるべきものなのだろうか。言葉を換えれば、足利さんにとっては、自分自身を「見せる」ことができさえすれば他の何かでもよいのではないか。小劇場という世界に付け入る隙が余りにもあるから演劇を選んだだけなのではないか。 もちろんそのこと自体僕は否定しない。 けれど、もし今後も演劇を続けていくのだとすれば、彼女はもっとそのことに自覚的になるべきだと思う。 [芸術アドヴァイザー・中瀬宏之] ううん。どうしてこの題材なんだろう。 上演中、ずっとそのことを考えていた。 考えてもわかんない。てか、わかるんだけど、やっぱりわかんない。 他にもやり方はあると思う。少なくとも、中途半端な笑いなんかいれないで、もっと素直にやっていいんじゃないかな。 役者は作品にあってる人とあってない人の差がはっきりしてた。 きらさんとは一度一緒に作品を創ってみたい。 あと、ラストの照明はもっと落として欲しかった。 あれでは、ほんとにしらけるから。 評価6点。 [劇団五十歩百歩代表・東渦岡若手演劇祭大会審査員伊坂へん子] コウシロー見たよ。ちょっとよくわかんない。小説家さんが編集者さんと旅する話。まねちゃんが今回もサイコー。あのサングラスほしい!! [むうむう@マカロン大好きさんのツイート] #
by figarok492na
| 2016-04-05 11:13
| 観劇記録
☆ネオ落語・セントラル 第25回
出演:桂三河さん、月亭太遊さん、月亭方気さん、センサールマン 大喜利出演:すり身氏、kit氏、無農薬亭農薬君 (2016年4月4日20時開演/錦湯) 春眠暁を覚えず。 気温も上がってめっきり春らしくなって、おまけに花粉まで飛んで、眠気に襲われがちな京この頃。 すっきりするには笑いが一番と、昨夜も錦湯さんに足を運んだ。 25回目となる今回は、桂三河さん、月亭太遊さん、月亭方気さん、センサールマンの4組5人の出演。 まずは、太遊さん、センサールマンの3人のトークからスタート。 太遊さんが十手リンジンの西手さんとニューハーフshow house「ベティのマヨネーズ」に行って目にしたことなどで盛り上げる。 で、はじめは三河さんが『初恋』を演じた。 『初恋』は、先ごろ上方落語協会会長に再選された桂文枝師匠の三枝時代の作品。 島崎藤村の詩『初恋』を巧みに引用した新作だが、細かくくすぐりが仕掛けられていて、よくできているなあと改めて思う。 そして、登場人物の設定には、どうしても文枝さん自身の生い立ちが重なってしまう。 もちろん、三河さんは一切ウェットにならず、きっちり笑いをとりながら演じていたが。 (そうそう、先日のABCラジオ『征平吉弥の土曜も全開!!』で、上方落語協会の会長選挙で桂恩狸さんに1票入っていたと触れられていたっけ。うむむ…) 続けて、方気さんが登場。 マクラで尿道結石に苦しんだ話をひとしきりして、痛風「同志」、おまけに腎臓結石という爆弾を抱えるこちらを笑わせつつ戦々恐々とさせたのち、本題の『河豚鍋』へ。 未だ河豚は食べたし命は惜しし、という時代のお話。 方気さんは丹念丁寧に演じつつ、時にデフォルメを効かせながら人の心の動きを笑いにしてみせた。 それにしても、河豚鍋食べたくなったなあ。 三番目は太遊さん。 スタートのトークで触れた「ベティのマヨネーズ」の売れっ子さんのネタに重なると断りつつ、フリップ(画用紙帳に言葉やイラストを書いた)を用いた「替え歌シリーズ」を披露。 とかとんとんと笑いをとる。 さらに、10年前のR-1でのネタ「CDショップ」も披露。 これはもう太遊さんの美声美喉が肝で命のネタで、ここぞとばかり歌い切った。 太遊さんは歌も巧けりゃ画も巧い。 トリは、センサールマンの漫才だ。 愛植男さん(客側から見て左側)のお父さんが、山崎仕事人さん(同右側)の子供に本を読み聞かせるという、子守唄ならぬ子守読みシリーズを演じた。 昨夜は、『浦島太郎』、『ウサギとカメ』、『笠地蔵』の三つが選ばれたのだけれど、植男さんの怪演怪演また怪演がどうしてもおかしい。 対する仕事人さんもエネルギッシュに応じて、笑いの拍車をかける。 センサールマンのお二人、脂が乗り切ってるなあ。 本当に面白い。 それに、ネタのチョイスも昨夜の錦湯さんにはばっちりだった。 そして、最後は定番の大喜利。 作家の桜井さん(あいにくお休み)や常連でライターの神龍さん提供のお題に、三河さん、方気さん、植男さん、仕事人さん、さらに大喜利ゲストの、すり身さん、kitさん、無農薬亭農薬君が挑んだ。 「宇宙人が空港で怒っていた、なぜ?」、「花も咲いていない桜の木の下に座った男が持っていたボードにはなんと書かれていた?」といった一筋縄ではいかないお題に対して、プロ・チームでは植男さん、仕事人さんがコンスタントにヒット、ホームラン(正解)を重ねていた。 その隙を狙って方気さんや三河さんも仕掛ける。 一方、あの『ケータイ大喜利』のレジェンドであるすり身さん、kitさんも一捻りだけじゃなく、二捻りはある解答で無農薬亭農薬君とともに大喜利を盛り上げた。 当然、昨夜も太遊さんの仕切りは好調。 的確適切覿面に解答者たちをさばいていた。 と、笑いに溢れたネオ落語・セントラル。 眠る阿呆に笑う阿呆、同じ阿呆なら笑わにゃ損損。 皆さんも、月曜20時は錦湯さんにぜひ! ああ、面白かった!! #
by figarok492na
| 2016-04-05 08:54
| 落語・ネオ落語記録
雨、どんよりとしたお天気から、少しずつ青空が見え始める。
それでも、まだだいぶんどんよりとしているが。 気温は上昇し、もわもわとした感じが強い。 皆さん、くれぐれもご自愛くださいね。 両耳(特に左耳)の調子が芳しからず。 加えて、気圧と湿度のWパンチ。 やれやれ。 驕る平家は久しからず。 というが、驕って平気の平左、とんと恥じない者を支える人間こそ一番の愚か者だ。 一番の愚か者にはなりたくない。 昨夜、24時半過ぎに眠る。 で、一度目醒めて、7時に起きる。 奇妙でおかしな夢を見た。 マルク・ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブルが演奏したハイドンの交響曲第96番「奇蹟」、第95番、第93番、第94番「驚愕」、第98番、第97番<naïve>を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、『御神酒徳利』を少しだけ手直ししたり、『焦げ茶色のペンギン』という短文(原稿用紙5枚分弱)を書いたりする。 『焦げ茶色のペンギン』は、文章の訓練だ。 午後、ミンコフスキが指揮したハイドンの交響曲第99番、第100番「軍隊」、第101番「時計」、第102番、第103番「太鼓連打」、第104番「ロンドン」<同>、ファジル・サイが弾いた同じくハイドンのピアノ・ソナタ集<同>、ルネ・ヤーコプス指揮フライブルク・バロック・オーケストラ他が演奏した同じくハイドンの交響曲第91番&第92番「オックスフォード」他<ハルモニアムンディ・フランス>、ブルーノ・ヴァイル指揮ターフェルムジークが演奏した同じくハイドンの交響曲第88番「V字」~第90番、第86番、第82番「熊」<SONY>を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、新しい作品について考えたり、『渦岡鉄道束沢線御刀田駅』という短文(原稿3枚分弱)を書いたりする。 『渦岡鉄道束沢線御刀田駅』もまた、文章の訓練だ。 『焦げ茶色のペンギン』がエッセイ風フィクション(フェイク・エッセイ)のエチュードだとすれば、こちらのほうは地の文章、描写説明の文章のエチュードである。 途中、30分弱昼寝をする。 昼食後、眠気(気候の影響も含む)に勝てなかったのだ。 高村薫の『四人組がいた。』<文藝春秋>を読了する。 高村さん初のユーモア小説集だけれど、皮肉と諷刺の横溢に、ふとラブレーの「ガルガンチュワとパンタグリュエル(の物語)」のことを思い出してしまった。 ああ、面白かった! で、渡辺一夫の評論選『狂気について』<岩波文庫>の拾い読みもした。 続けて、大岡玲の『たすけて、おとうさん』<平凡社>を読み始める。 これまたブッキッシュな作品で、面白そうだ。 そうそう、ブッキッシュといえば、昔筒井康隆が「ぶきっちょな作家と言われている」と言われて確かめてみたら、ブッキッシュが正解だったという話があったっけ。 筒井がぶきっちょな作家なわけあるかい。 まもなく外出して、錦湯さんへ。 25回目となるネオ落語・セントラルなり。 それじゃあ、行って来ます! #
by figarok492na
| 2016-04-04 18:48
| CLACLA日記
どんよりとしたお天気が続く。
小雨も降る。 気温は上昇し、もわもわとした一日。 皆さん、くれぐれもご自愛くださいね。 両耳の調子、芳しからず。 特に夕方、左耳の調子が著しくおかしくなる。 なんとか持ち直したものの、薬の効果はないんじゃないか、セカンドオピニオンが必要なんじゃないかと思ってしまう。 気圧と湿度のWパンチも加わり、うっとうしい。 やれやれ。 昨夜、1時40分過ぎまで夜ふかし。 で、8時まで寝ているつもりが、7時半ちょうどに目醒めてしまったので、そのまま起きる。 午前中、マルク・ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブルが演奏したハイドンの交響曲第96番「奇蹟」、第95番<naïve 以下省略>、NHK・FMの『名演奏ライブラリー』、ミンコフスキ指揮のハイドンの交響曲第93番を聴く。 『名演奏ライブラリー』は、「作曲家の自作自演 名演集」と題して、オネゲル指揮管弦楽団が演奏した交響詩『夏の牧歌』、ハチャトゥリヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団が演奏した組曲『仮面舞踏会』抜粋、エルガー指揮ロイヤル・アルバートホール管弦楽団が演奏したエニグマ変奏曲、ラヴェル指揮コンセール・ラムルー管弦楽団が演奏したボレロ、ホルスト指揮ロンドン交響楽団が演奏した組曲『惑星』から「木星」、リヒャルト・シュトラウス指揮ウィーン・フィルが演奏した交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』などが放送されていた。 なお、2010年から解説を続けてきた諸石幸生は今回が最後の登場。 仕事関係の作業を進めたり、『お神酒徳利』を書き進めたりする。 『お神酒徳利』は、原稿用紙252枚強で第1稿を完成させた。 正直、終盤書き急いだ感は否めず、非常に粗い出来ではあるが、一程度の分量を毎日コンスタントに書き続けるという課題は果たせたと思う。 しばらく寝かせておいて、筆入れを開始したい。 また次作は、精度の高い文章をコンスタントに書き進めるということを課題にしたい。 午後、ミンコフスキ指揮のハイドンの交響曲第93番、第94番「驚愕」、第98番、NHK・FMの『きらクラ!』(5年目に突入)、ミンコフスキ指揮のハイドンの交響曲第97番を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進める。 途中、15分ほど昼寝もした。 新庄耕の『ニューカルマ』<集英社>を読了する。 続けて、髙村薫の『四人組がいた。』<文藝春秋>を読み始める。 ほかに、福永文夫の『大平正芳』<中公新書>の拾い読みもした。 山本太郎が自民党について「毎日がエイプリールフール」と言い切ったそうだけれど、この本を読み返しつついろいろと考えた。 16時過ぎに外出して、室町通のストアデポでPCのマウスなどを購入する。 今使っているマウスが突然おかしくなったため。 いらぬ出費にがっくり。 で、京都芸術センターで用件を片付け、夕飯用の買い物をすませて帰宅した。 帰宅後、ミンコフスキ指揮のハイドンの交響曲第99番、第100番「軍隊」、第101番「時計」を聴きながら、『四人組がいた。』を読み進めたり、新しい作品について考えたりする。 NHK・FMの『ブラボー!オーケストラ』を聴く。 「吉松隆セレクション2015」と題して、尾高忠明指揮東京フィルが演奏したシベリウスの交響詩『フィンランディア』などが放送されていた。 続けて、同じくNHK・FMの『リサイタル・ノヴァ』を聴く。 ピアニストの實川風が出演していた。 さらに、ミンコフスキ指揮のハイドンの交響曲第102番、第103番「太鼓連打」、第104番「ロンドン」を聴く。 夕飯後、仕事関係の作業を進めたり、『四人組がいた。』を読み進めたりする。 ほかに、『大平正芳』の拾い読みもした。 今日も、バナナを食す。 ごちそうさま! 明日がいい日でありますように! それじゃあ、おやすみなさい。 #
by figarok492na
| 2016-04-03 22:41
| CLACLA日記
晴天から、徐々にどんよりとしたお天気へ。
明日はまたもや雨か。 気温は上昇し、春らしく穏やかな一日となる。 季節の変わり目、皆さん、くれぐれもご自愛くださいね。 こちらは、両耳の不調に悩まされる毎日。 それでも、気持ちだけは愉しく過ごすようにしているが。 結局のところ、馬鹿につける薬はない。 そして、馬鹿を支える者こそ一番の馬鹿者だ。 一番の馬鹿にはなりたくないし、一番の馬鹿者の巻き添えを食いたくはない。 まずは自分がもっと賢しくならなければと反省する。 昨夜、マルク・ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブルが演奏したハイドンの交響曲第99番、第100番「軍隊」<naïve 以下省略>を聴いたりしながら、作業を進める。 で、1時頃寝床に就き、7時半に起きる。 朝一で毎週恒例の洗濯をすませる。 乾き、なかなかよろし。 ああ、すっきりした! 午前中、ミンコフスキ指揮によるハイドンの交響曲第102番、第103番「太鼓連打」、ABCラジオの『征平吉弥の土曜も全開!!』を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、『御神酒徳利』を書き進めたりする。 『御神酒徳利』は、原稿用紙に換算して234枚分を超えた。 そうそう、『征平吉弥の土曜も全開!!』で、先ごろ開催された上方落語協会会長選挙について触れられていたが、桂恩狸さんに1票入っていたとか…。 午後、ミンコフスキ指揮によるハイドンの交響曲第104番「ロンドン」、第96番「奇蹟」、第95番、第93番、第94番「驚愕」、第98番、第97番、第99番、第100番、第101番、第102番、第103番を聴いたりしながら、新庄耕の『ニューカルマ』<集英社>を読み進めたり、『御神酒徳利』を書き進めたりする。 『御神酒徳利』は、原稿用紙に換算して243枚分を超えた。 ひとつの章(パート)を書き終えて、残すところ一章のみとなった。 正直、粗いできだということはわかっているのだけれど、まずは第1稿を完成させることを優先させることにし、あとで丁寧な筆入れを行うことにする。 途中、15分ほど昼寝をする。 17時過ぎに外出して、大切な予定をすませる。 いろいろと考えたり、刺激を受けたりと、充実した時間を過ごすことができた。 ああ、愉しかった! 23時40分に帰宅し、シャワーを浴びたのちミンコフスキ指揮によるハイドンの交響曲第104番を聴いたりしながら、雑件を片付ける。 以上、4月2日の日記。 自分にとって大切な相手というのは、何かの組織に所属しているからとか、何かの世界業界にいるからとかではなく、一緒に話をしていて愉しかったり、その人の生き方に共感ができたり信頼できたりする人なのだと改めて思った。 多謝。 今日がいい日でありますように! それじゃあ、おやすみなさい。 (明朝は、8時起き。新年度から日曜日は8時に起きることにしたのだ。朝型生活をスムーズに続けるための変更なり) #
by figarok492na
| 2016-04-03 00:55
| CLACLA日記
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